昨日は、生死の境をさまよったと言っても過言では無いとおもう。大国はあんなモノばっかり食べているのだろうか。正直、あそこまでまず……げふんげふん、美味しくないとは思わなかった。大国の人は、お腹が丈夫なのだろうか。

 生憎ながらは、お腹が丈夫ではない。なので、おなかを壊してしまった。原因は……多分、っていうか、絶対にイギリスさんの料理のせいだ。なんだあの人の料理は。見た目は、まあまあ普通だったのに……!
 なんだか、ぐっと疲れた。一応、症状はもう回復したので、学校へ出てきたものの──、進む足取りは重い。
 昨日イギリスさんに来いよーと言われたものの、行けなかった。そのことについて、絶対に怒られるだろう。何で来なかったんだ、とか。絶対。うわー嫌だなあー。


 そんなことを思うと、一層気分が鬱屈としてくる。学校の壁に寄りかかって、溜息をついていると、声が聞こえてきた。



「あれ、。どうしたの、こんな所で」
「リトアニア……」



 知らず俯いていた顔を上げると、優しげな面持ちが目に入る。心配してくれているようだ。
 「ちょっと…なんだか、生徒会室行くのやだなあーって」と漏らすと、「生徒会室?」と首を傾げられた。その後、「どうして、生徒会室……? それより、顔色が悪いよ。風邪でもひいたんじゃない?」と言って、額に手を当てられた。
 ひんやりとしたその手は、なんだか気持ちが良くて思わずほけほけとした表情を浮かべてしまう。



「……熱は無いようだけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。心配してくれて有難う」
「いえいえ。何にもないなら、いいけどね」



 そっとリトアニアの手が額から離れる。彼はいつものような優しげな笑みを浮かべ、の手を取った。何をするのだろう、そう思って顔を仰ぎ見ると、「生徒会室まで、一緒に行ってあげる」と言われた。



「ありがとう、助かるよー」



 にへ、と笑みを浮かべると、リトアニアも笑みを深くした。
 リトアニアとは、アメリカと共に学校へ来た初日に知り合った。優しい、なんていうか……うん、良い人だ。仲良くさせてもらっているの、だけれどリトアニアと話していると決まってやってくる人が居る。いや、別にやってくるのは良い、けどさ。



「リトー! それに、!」



 き、来た……! 後ろを見る。すると、物凄い勢いで走ってくる人が見える。ポーランドだ。
 リトアニアが「ポーランド!」と声を荒げ、「廊下は走っちゃいけないよ!」と続ける。うん、突っ込みどころがおかしいっていうか、なんですか天然なんですか。
 ポーランドは真っ直ぐに向かって走ってきて、物凄い勢いでタックルしてきた。衝撃で廊下に倒れ伏す。

 体をしこたま打ってしまった。正直、すばらしく痛い。なんですか、コレは。
 が「うう」とか痛みに耐えた声を漏らすと同時に、ポーランドは「リトと話すには、俺の許可が必要だしー」とひょうひょうと言ってのけた。いや、おかしいでしょう。なんで許可。
 ポーランドから顔を背け、「別に良いじゃん……」と呟くと、「あかんしな!」と言う声が素早く返ってきた。どんだけ反射神経凄いんだ。

 地面と接触していた体をむくりと起こし、ポーランドに向き直る。



「リトアニアはみんなのものです!」
「へええ!? な、何言ってるの、!」
「違うんよー、リトアニアは俺のものって一万年と二千年前から決まっとるんー」
「ぽ、ポーランドもおかしなこと言わないで!」



 さっきの衝撃で離れたリトアニアの手を再度取り、「とリトアニアは生徒会室に行くんで! さよーならーポーランドー! 悲しみに打ちひしがれているといいよ、あははははは」と言いながら、廊下を走り出す。なんていうか、悪役みたいだ。リトアニアが「ろ、廊下は走っちゃ駄目──」と慌てたような声を出すが気にしない。ふふん、規則は破るためにあるんですよ!

 ずっと後ろの方から「ずるいんよー! かけっこなら俺は負けんしな!」と言うポーランドの声が聞こえた。

 振り向くと、楽しそうに笑いながら追いかけてきているポーランドが見えた。笑いながら、ってそれはそれで怖いんだけれど、それは置いておくことにして──「リトアニアはのものー!」と返そうとすると同時に、誰かにぶつかった。

 衝撃でしりもちを打つ。リトアニアと手が離れてしまった。「す、すいません」と声を出しながら、ぶつかったであろう人物を見上げると、そこには生徒会長……つまりは、イギリスさんが立っていた。
 が凄い速さでぶつかったにも関わらず、よろめいても居ない。どんだけ強いんだ。
 心の中でそんなことを思っていると、イギリスさんが「お前……」と眉間に皴を寄せた。あ、あれ、ヤバイですかね。もしかしなくとも。
 リトアニアが驚いたような表情を浮かべ、「あ、生徒会長。こんにちは」と言う。続いて、追いついたのであろうポーランドが「あれー、生徒会長やんー。おはようーっていうか、それよりも聞いて欲しいんよー」と声をかけるのが聞こえた。

 が、生徒会長はそんなのを無視し、「昨日、来いって言っただろ!」と声を荒げてきた。思わず、身を竦めてしまう。



「何で来なかったんだよ!」
「うひゃああすいませんすいませんすいません本当に申し訳ございません! だから攻めないでください、怒らないでください、昨日は学校を休んだんですー!」



 お、お腹壊して……。小さくそう続けると、イギリスさんはなんだか変な表情を浮かべて、「なんだよ、俺のせいかよ」と呟いた。うん、その通りです。謝罪と賠償を要きゅ……げふん。こんなこと言ったら、絶対に空気よめ! と言われるだろう。どうしよう。此処は、慰めるべきなのだろうか。なんだか、目の前の人物は目に見えて凹んでいる。



「え、ええっと、その、生徒会長のせいじゃありませんよー。その、体調管理が出来なかったが悪いんですから」



 しどろもどろに言葉を発する。……慰められるべきはのはずなのに、は何をしているのだろう。こういうの、小心者って言うんだ。
 ポーランドが「なになに、何かしたんー?」と嬉しそうに底意地の悪い笑みを浮かべながら訊いて来る。リトアニアが直ぐに「こらっ!」と言ってポーランドをいさめたけれども。

 イギリスさんはに変な視線を向けてから、「……それより」と言葉を発した。なんていうか、若干怒っているような気が。下手な慰めはいらねーよ馬鹿ヤローとでも思ったのだろうか。
 どっちにしても、小国のは大国にヘコヘコするしか生きていく道は無い。島に居る、数十人の人の為に! は言葉を遮るように「それに」と言葉を続けた。



「イギリスさんから貰えなかったら、海に潜らなきゃいけなかったんですよー。あの、深くて暗い海! うひゃああもうこれだけで嫌です溺れます!」
「……」
「それに、ってば魚焼くのすごい下手で……生焼けの魚食べて、食中毒起こすかもしれませんでしたし!」



 そう言いきると、イギリスさんは変な表情を浮かべた。ポーランドが「ってば本当変な生き方してるしなー」とケラケラと笑う声が聞こえる。どうとでも言ってください!
 そんなことを思いながら、いつの間にか正座をしていた体を立たせる。すると、イギリスさんが言いにくそうに「そ、そうかよ」と声を発し、「なら、良い」と顔を逸らした。微妙に声が震えていた。機嫌は直っただろうか。



「それにしても……」



 しばしの無言が続いていたら、リトアニアが声を出した。ポーランドがニヤニヤとを見ている。なんですか。何が言いたいんですか。



、俺でよければ力になるからね」
「俺も俺もー。面白そうやしー」
「……リトアニア、ありがとう!」
「俺は?」



 リトアニアが微笑んでいった言葉に、思わず感極まって抱きつきそうになった。なんという、なんという、──神様みたいだ。ポーランドが不貞腐れたような表情を浮かべるけれど、気にしない。むしろ気にしてなるものか。
 あくまでポーランドを視界に入れないようにしていたら、イギリスさんがこほん、と咳を一つし、「それで」と声を出す。もう、震えてはいなかった。



「お前、部活動、していないんだろ」
「え。ああ、はい。そうですよー」
「ということは、放課後、ヒマな訳だ」
「まあ、そういうことになりますね」



 何を言わんとしているのか、良くわからない。首を傾げると、イギリスさんは「これは、生徒会長命令だ!」と言葉を発した。さっきのようなしょげた表情はどこへやら、彼は一昨日のような悪人面を浮かべながら、言葉を続けた。



「──スイスを引っ張り出して来い!」
「へ?」



 すいす。スイス──? 誰だ。イギリスさんが「拒否は認めないからな、居る場所はこの紙に書いてある、連れてくるのは明日の文化祭までにだ!」と言い切り、に一枚の紙切れを渡して、何処かへと走って行ってしまった。

 それを唖然として見つめながら、は首を傾げる。リトアニアが「す、スイスさん……」と呆然としたような声を出し、ポーランドは「うわー」と、本気で嫌そうな声を発した。

 え。なんだ。なんなんだ。スイス、という人はそこまで酷い人なのか。凶暴なのか。
 「……え、あの、ポーランド、リトアニア……」と二人に視線を向けると、苦笑を返された。



「え。え。え? なに、なんなの! スイスって一体!?」
「あー……うん、大丈夫だよ、。大丈夫」
「え? なにそれ、あははマジうけるしー!」
「うけるな!」



 どうやら、二人はついてきてくれる気は皆無らしい。くっ……酷い。友情は何処へ。
 そんなことを思いながら、はイギリスさんに渡された紙を握りつぶした。




*




 二人から、「頑張れ」「頑張れば良いと思うしー」と見送られ、只今居ますはスイスさんの領地前。領地に入らなきゃ話せないのだけれど、勝手に入っても良いのかな。いいよね。入らなくちゃ、なんにも始まらないんだし!
 は意を決し、大声を出しながら、足を一歩踏み出した。



「スーイスさああああああ!!!?」



 途端、の頬を掠めた何か。頬がひりひりとして、何かが伝うのを感じる。手をやると、なにやらヌルヌルとしたものがついた。赤い。血だ。……血?
 ええええええ! な、なんで! ち、ちょ! えええええ!!!

 心の中で大絶叫していると、もう一回、耳元で変な轟音がした。もしかして。いや、もしかしなくても。攻撃、されているのではないだろうか。



「ええええなんでなんでなんで!」



 周りを見渡す。すると、一軒屋の窓の中から黒いモノを構えている人が居るのが見えた。あの人が、多分、を攻撃しているのだろう。



「ええええあの、すいません! すいません攻撃しないでくださいお願いします! スイスさんに会いにきたんですけれどおおおお!!」



 即座に土下座をする。これで効果があるなんて、わからないけれど。必死に「すいませんすいませんすいません」と繰り返していると、「なら!」と言う、力強い声が聞こえてきた。
 顔をあげると、黒いモノを構えていた人が、叫んでいるのが見えた。



「我輩の土地から、退け!」



 と、土地? 土地って、あの、え。ぽかんとした表情を浮かべていたのだろうか、相手の人──多分、我輩の土地って言ってたし、多分、スイスさんだろう。スイスさんはじれったそうにしながら、もう一度同じ言葉を発した。



「退け! さもなくば、──撃つのである」
「う!? えええ撃つってあの、すいませっ、すいません、退きます!」



 さあっと顔からきっと赤みが引いただろう。はすぐさま立ち上がり、後ろへとさがった。それを見て、スイスさんは満足そうにし、窓から顔を引っ込めた。あ、あれ。

 いや、引っ込められたら困るっていうか話が出来ないんだけれど。

 「す、スイス……さーん」と小さく声を出してみるけれど、反応する人は誰も居ない。
 え。ちょっと待て。どうすれば良いこの状態。



「す、スイスさーん!」



 窓からは誰も覗かない。



「スイスさーん、スイスさんスイスさん、スイスさんスイスさんスイスさん!!!」
「五月蝿いのである!」
「ひいっ!」



 名前を呼び続けていたら、窓からひょっこりと人が現れ、ばん、と何かを撃ってきた。と、土地に入ってないのに……!



「す、すいません、あの、お話しがあるんですけれど!」
「我輩には何も無い」



 そう言って、スイスさんは遠目からでもわかるぐらいに表情を歪めた。なんだ、そこまで人と喋るのが嫌か。それともなんですか。人と喋ると恥ずかしくてあがっちゃうの、みたいな、そんな感じの人なのだろうか。

 色々と思念していると、スイスさんが「おい!」と声を荒げた。



「早く言うのである!」
「へえっ!? あ、あの、ええとですね!」
「前置きは要らん!」
「へ!? あの、世界W学園のことなんですけれどっ……! っていうか、あの、大声張り上げるの辛いんですけれど! 此処に来てくれませんか!」



 そういうと、スイスさんは一瞬、嫌そうな表情を浮かべたが、少ししてから「待っていろ」と言い、窓際から姿を消した。


 ──スイスさんって、凄い人だ。っていうか、なんていうか。なんなの。攻撃しかけてくるとか、どうなの。驚きどころの話じゃあない。戦えと言うのか。何で戦えばいいのだろう。石でも投げたら良いのかな。うん、瞬殺される自信がある。
 セーシェルちゃんにまぐろとカモメさんを借りればいいのかな。うーん。

 ……っていうか、なんで戦うことなんて考えているんだろう。

 そんなことを考えていたら、土を踏む音がした。はっと意識を戻せば、此方に向かって歩いてくるスイスさんの姿が目に入る。スイスさんはの姿を見た後、舌打ちのようなものをし、「それで、何だ」と歩きながら言葉を発した。



「え、ええと、その」
「はっきり言うのである」



 スイスさんがの目の前で止まる。さらさらとしていそうな金色の髪の毛──金色、というよりは薄いかも知れない。瞳の色は、美しい翡翠の色をしていて、しっかりとした眼光を持っている。……少し、幼く見えるのは、きっと線が細いからだろう。それに、頬の部分も大人の人──というより、子供のようなふっくらとした柔らかさを持っていそうだ。
 じっと見ていると、スイスさんが「はやく!」と苛立ったように言葉を発した。



「あ、すいません」
「何を見ていたかは知らないが、早く話すべきである。我輩を待たせるな」
「す、すいません……。ええと、その、今度、ブンカサイがあるらしいんです! だから、学校、行きましょう!」
「……」



 スイスさんの瞳は冷たかった。はあ? 何言ってんのコイツ、とでも言いたげな視線。酷い。
 その瞳に負けないように見つめ返していたら、ふと視線を逸らされた。スイスさんの口が小さく動き、「嫌だ」と言う言葉を紡ぎ出した。──嫌?



「な! なんでですかあああ!」
「今までも行かなかったし、文化祭なんて面倒くさいのである。それに」



 スイスさんが視線をに合わせる。そしてそのままの表情で言葉を発した。



「お前、誰から命令されたのだ?」
「め、命令?」
「今までは誰からも、来い、なんて言われなかったのである」
「へ」



 唖然としたような声を出せば、スイスさんは眉をしかめる。あれ、微妙に怒ったのかな。ヤバイか。此処は会話を転換させるべきか。目指せ! 空気を読める子!



「え、ええと! それにしても、その、って言います!」
?」
「そうですそうです、初めまして! スイスさんですよね、よろしくお願いしますー!」



 手を差し出すと、スイスさんは一層、眉間にしわを寄せた。あれ。もしかして、、空気読めてなかった? そりゃそうだよね、なんか真面目な雰囲気だったのに、急に自己紹介かよ! アホですか! みたいな、そんな感じかな。うわあああどうしよう!

 一人で焦っていると、スイスさんは手に視線をやりながら、「ああ」と言った。……それだけ。
はしょうがなくやり場のない手を元に戻す。微妙に恥ずかしいなあ。イタリアさんとかは「おはー! 女の子ー! 俺、イタリア! よろしくねー!」と言ってくれたのに。やっぱり、お国柄が違うから、なのかな。

 そんなことを思いながら、「あの」と声を発する。スイスさんが素早く「何だ」と答えた。



「その……楽しいですよ、学校」
「……」
「ブンカサイ、ですし! そのほら、どうっスか!」
「何度いわれても、嫌なものは嫌なのである。話はこれだけか?」



 呆れたように、小さく溜息を零された。あ、やばい、逃げられる。引き止めなければ。
 スイスさんが何も言わず、に剣呑な視線を残して去ろうとする。どうしよう。どうしよう、どうしよう!



「す、スイスさん!」
「……」



 まだ何かあるのか。そういった様な、気だるそうに此方に視線を向けられる。いやーん嫌われてるよーどうしよう、セーシェルちゃんハンガリーちゃん、アメリカ!
 焦って発した言葉は、余りにも変なものだった。



「す、すすっ、スイスさんと友達になりたいです!」
「は?」



 剣呑な視線パートツー。なんだ、はアホか。この口は何を言っているのだろう。ひいい!
 でも、あふれ出した言葉は止まることを知らない。



「た、確かに、イギリスさんから言われて来ましたけれど、今はすっごくあなた自身──スイスさんに興味があります! 友達になってください!」



 何を言ってるんだこの口──!
 自分の口を取り去りたい。さようなら、の口。は貴方の知らない新しい口と生きて──って何、現実逃避をしているのだろう。さっきまで凄いへんな雰囲気だったのに、友達になってくださいでもっと雰囲気がおかしくなった気がする。ギャグにしても寒すぎる。アメリカに言ったら「はん、ジョークのつもりかい?」と鼻で笑われそうだ。

 スイスさんを見ると、やっぱり「何を言っているんだコイツ」みたいな表情を浮かべていた。
 けれど──ここで退くわけには、いかない。



「スイスさんが知りたいです! スイスさんと友達になりたいです! す、スイスさんと仲良くなりたいんですーー! 本当です、嘘偽りなんてありません、仲良くしましょうよー! 、友達、全然居ないんですよー! ブンカサイ、行きましょう! きっと楽しいですよ! いや、絶対に!」
「……何を言っているのである」
「いや、自分でも何言ってるんだろうって思うんですけれどっ、その、スイスさん、仲良くなりましょうよー。スイスさん、一緒に遊びましょうよー!」
「……」



 スイスさんは呆れたような表情で、踵を返してどこかへと行こうとする。が、はスイスさんの手を掴み、それを阻止した。もうなんていうか間違ったら……っていうか、間違っていなくても嫌われそうだけれど、もう良いよ!
 スイスさんは驚いたような表情を浮かべ、「何をするのである!」と手をブンブンと振った。けれどそこはそこ。一応、ずっと無人島生活をしてきた、力だけはある。



「良いじゃないですか、楽しいですよー! お友達、どうですか、素晴らしいじゃないですか!」
「は、離せ!」
「ブンカサイだけじゃなくて、一杯遊びましょう! ね、どうです! の所にも遊びに来てください! 全然、おもてなし出来ないかもしれませんけれどっ」
「おい!」
「なんでですか、なんでですかあー! 良いじゃないですか、なんで学校来ないんです!」



 そういうと、スイスさんは怒ったように頬を赤くし、「外国人が居るからに決まっているだろう!」と声を荒げた。外国人。──って、なんで。



「なんでです、人類皆兄弟ですよ! 他人なんて居ません!」
「おっ、お前は……!」
「という訳で、とスイスさんは、きょうだいな訳です! わーい、おめでとうございます。これで外国人じゃありませんね!」
「何を言っているのである!」



 スイスさんとの手が離れた。あれ。力強く握っていたはずなのに。見ると、スイスさんは頬をさらに赤くしていた。……べーつに良いじゃないですかー。と思ってしまうのは、だけなのだろうか。
 唇を尖らせると、「お、お前は!」と声を荒げられた。なんだか怒られているようだ。いや、実際、怒られているのだけれど。言葉を遮るように、口を開いた。



、スイスさんが来てくれるまで、ずっと此処に居ますよー。凍死して死んじゃったら島が一個無くなっちゃうわけです。スイスさんのせいですよー」
「脅しをかけるな!」
「別に良いじゃないですか。ブンカサイに来て欲しいですし、スイスさんと友達になりたいのも事実です。何が悪いんですか? が経済とか発達してないから悪いんですかね。やっぱり、戦力が石とかつる草とかだったら駄目なんですか?」



 そういうと、スイスさんは押し黙った。あれ、やっぱり怒らせたのだろうか。まあ良いや、もう良い。諦め半分、は言葉を続けた。



「……そこまで、嫌なんですか」
「……別に、そこまで嫌というわけではないのである。文化祭。それに行けば、お前は此処から消えるのか」
「き、消えっ!? え、いや、そうですけれど」
「……行く」
「へ」



 小さな声、けれどもしっかりとしていた。スイスさんを見ると、怒ったような表情を浮かべられた。あれ?



「──お前のためではないのである」
「えっ、えええ! 良いんですか、やったー! じゃあ、スイスさん、回りましょうよ、一緒に!」
「我輩は一人で行動する」
「ええええー、じゃあ、その行動しているのを後ろからストーカーさせて頂きますよー」
「……」



 スイスさんが呆れたような溜息をついた。でも、今のには嬉しさを増幅させる材料にしかなりえない。やった。やったよ、やったよー! セーシェルちゃん、ハンガリーちゃん、アメリカにリトアニアにポーランド!
 嬉しさに頬を緩ませていると、何だかぴりっとした痛みが頬にもう一度走った。ああ、そういえば怪我してたんだっけ。
 頬に手をやると、やっぱりぬっとりとした感触がついた。……どうやって、手当てすれば良いんだろう。島に伝わる秘伝の怪我を治す葉っぱとかつけていこうかな。笑われるかな。
 そう思っていたら、「……来い」と声を掛けられた。知らず俯いていた視線を上げると、スイスさんが呆れたような表情を浮かべているのが目に入った。



「え、えええ、入っても良いんですか? それにしても、なんで?」
「我輩が来いと言っているのだ」
「うわー、失礼しまーす」



 ひょいっと土地に足を入れる。一瞬だけ、眉を潜められた。この人は、自分の土地に誰かが入るのが嫌なのだろうか。そんなことを思いながら、スイスさんが歩くのに置いていかれぬよう、歩いていく。
 それにしても、一つ、問いに答えられていないのだけれど。そう思いながらスイスさんに視線を向ける。一瞬視線が合ったかと思えば、すぐにふいと逸らされる。、本気で嫌われているかもしれない。うえー、どうしようー。
 一人、色々な思考に陥っていると、スイスさんのよく通る声が耳を打った。



「我輩がつけた怪我として色々と言いふらされたら良い迷惑なのである」
「……へ?」
「特別に、手当てをしてやると言っているのである」
「え」



 思わず発した言葉に、スイスさんはを一瞥し、直ぐにそっぽを向いてしまった。けれど──。

 小さく見える、耳の赤さには笑みをこぼした。





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2007/10/26





ツンデレかと小一時間(ry。スイスー難しいー。