なんで。なんで、戻れないんだろう。
なんで。なんで、希望って捨てきれないんだろう。

なんで、誰かが誰かの為に、死ぬハメになるんだろう。





Act27.希望を、願った。





走り出した。なんで、こういうときって自分の足が遅く感じるんだろう。
はやく、はやく走って欲しい。はやく────!!!!!


刀が、元就の首にかかった。
やめて、やめてよ、お願いだから。やめて。

嫌だよ、まだ知り合ったばかりなんだよ?
なんで、そんな、やめて、やめてやめてやめてやめてやめて!!!!!!!!!!!!!!!





刀が、血を帯びた。
血が、の方まで飛んできた。
頬にかかる。髪につく。服に、跡を残す。





「・・・・・・・・・・・・・・・・うっ、
 嘘、だっ、嘘でしょ…っ・・・うあああああああああ!!!!!!!!!」





『友達とは、守るものであろう?』


そう、言っていた。
元就、は。なんで、を守る、ために。
は、元就を守らなかったよ。友達、失格、だよね。


涙が溢れる。声が、狂ったように喉から漏れる。
スローモーションがなくなる。元就の傍へやっと来ることが出来た。





「もとなっ、もとなりぃっ、もとなりっっ!!!!!
 やだ、死なないでよ!ヤダよ、やだやだやだやだ嫌だいや、いやだいやだぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「……?」


「近づかないでよッ!ひ、人殺しぃっ!!
 もとな、元就っ、や、やだあ、やだよ・・・やだよ・・・・いや、だよぉ・・・・・・」





政宗が、一瞬、酷く辛そうな顔をした。
けれど、そんな事、今のに気付けなかった。気付こうとしなかった。

ただただ、泣いて、なにも戻ってくるはずが無いのに。


過ぎてしまった。
元就が、殺されるのを黙ってみていた。

なんで、足に刀が刺されたと同時に動き出さなかった。
やめて!と、叫んでも、なんにもならないと、思っていたから。


自分の命が、無くなるのが、イヤだったからだ。




元就を抱きしめた。暖かい。いつものぬくもりが其処にある。
嘘だ、絶対に嘘だ、死んでなんかない。


だって、いまさっきまで呼吸をして、
の名前を呼んでくれて、
元親と仲良く話していたんだ。


の目の前で。


これって、なにかの悪い夢だよね。そうなんだよね。
はやく、夢覚めてよ。、こんなの見ていたくない。
ほら、眼をあけたら、大丈夫だよ。元就がいつもと同じように笑顔を浮かべて、そして─…。





「…殿、長曾我部、捕らえました!」


「くっそ、やめろ、はなせ!!
 …って、…?おまえ、どうし──…ッ!」





目を開いた。
目に映ったのは、血で濡れた、陣羽織と、それと。

元就の身体をゆすった。力なく揺れる。












呼んでよ。名前を。

顔は。どこ?
笑ってた、微笑んでた、優しい元就の、顔。何処?


不意に後ろから抱きしめられた。
目を隠すように、誰かから手を目の上に乗せられた。
なに、何をするの?振り払おうとしたけれど。無理だった。






…っ、くそ…、くそぉ…ッ…」


「もと、ちか?」


「なんで、俺、こんなに弱いんだよ…っ。
 なんで、友達を守れないんだ…ッ、なんで、なんでなんで!!」


「元親…」


「…なあ、……なあッ、…っ、元就は死んだんだ!
 身体をゆすったって、何したって、戻ってこないんだ!!!」


「そんなことない、よ……」





不意に身体を元親の方に向かせられた。
元親の頬には、涙が伝っていた。





「俺だって、俺だって…認めたくない……ッ、けどよ、見ろ!
 顔が、無いし、それに、もう聴こえないだろッ!」





の耳に、強引に元就の体の胸の部分が当てられた。
聴こえないって、どういう意味。そう思ったけれど、唐突に理解した。


心臓の音が、生きている証が、聴こえない。
元就の胸からは、もう。



本当に、死んだんだ。





理解した、途端、嗚咽が溢れてきた。
涙が、とめどなく出てきた。
元親が、抱きしめて「…、くそぉ、ごめん…ッ」と、何度も何度も呟いていた。






死んでしまった人は、もう戻ってこない。
そんなこと、わかっていること。
けれど、願わずにはいられないんだ。

声が聞けたら。
笑顔が見れたら。
もう一度だけでいい、
元気な姿を見せてほしい、と。


散っていく花弁はもう元には戻らない。
誰にも、戻せない。






(終わり。)
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これを、実は27の本当の話としてUPしようと思いました。
色々と、『元就を死なせないで!』等の意見が来たのでやめましたが。

人の死は痛いものです。愛しいモノが壊れていく瞬間は、哀しく思います。
人は、大切な存在ですよね……。
散っていく花を、生きながらえさせることもできるでしょう、肥料をたくさん与えれば。
でも、それは散るのを、枯れていく速さを遅くさせるためだけです。枯れるのをやめさせることは誰にもできませんもんね。

そんな感じです。それではでは。




2006.6.5