「貴方は……!」

「え……まじでか」




<再会、そして>




 夢を見た。っていうか、今、ナウ、現在進行形で! 見ている。……ちょっと言い過ぎた。
 しかも、昨日見た夢と、なんだか同じ設定っぽい。ええー、もう見たくないなあ、って思ったのに。
 目の前には日本。……なんだか、昨日より少し成長しているような気がするのは、気の所為だということにしておこう……。

 というか、はあんまり、同じ設定の夢を見たことが無い。大体、一回見たら、終わってしまう。
 夢って、そういうもんじゃ無いだろうか。最近は、よく……風景の夢を見たけれど、別に気にならなかった。
 なんだか、良くわからん……。まあ、なんにしても、夢なのに何だか酷い夢だってことはわかる。
 、「日本マジかわゆす……たまらん、なじってほしい」とか思ったり言う人じゃないから……今のシチュエーション、全く嬉しくない。




「貴方は……一体、なんなんです!
 急に消えたり、急に現れたり、本当に、一体……」

「えっ、ちょ、あのっ」

なんていう国、見つかりませんし……、中国さんに聞いてもそんな国知らんあるよ、としか返されなくて!」

「そっ、そんなこと言われても……」

「大体! おかしいでしょう、人が消えたり現れたり! 一体、どういうことなんですか」

「いや……あの、え…えーっと」



 日本が迫ってくる。本当だったら良いシチュエーションな、んだろうけれどさあ……。……日本があまりにも鬼気迫る表情なものだから、は表情を引くつかせることしか出来ない。ええー何これー。




「……別に、怪しい人じゃ無いよー……」

「そういう人に限って怪しいんですよ」

「……なんか何処かで聞いたことのあるセリフデスネ、って睨まないでください」




 日本の剣呑な視線がに突き刺さる。えー、一応日本人だし……少しは優しくしてくれても。
 溜息を吐きそうになるが、それを寸前で押し留めた。溜息をすると幸せが逃げちゃうんだよ、うん。

 日本の視線に合わせることも出来ず、は周りを見渡した。空から、さんさんと降り注ぐ太陽に、その光を反射しながら流れる川。川辺は小石で一杯で、足を少し動かすだけで、ジャリジャリとか、そういう音がする。
 の後ろにはきっと、竹やぶがあるんだろう。そして、それを抜けたところには石が敷き詰められた通路、赤い鳥居、舞い落ちる桜。なんていうか、純、日本! って感じだ。
 ちょっと意識を飛ばしていたら、日本が剣呑な視線を緩め、「……まあ、良いです」と呟くように声をだした。




「……急に現れて消える以外は、なんだか普通の人みたいですし」

「いや、本当普通の人間ですよ、ほど平々凡々な人間は居ないよ」

「胸を張っていうことじゃ無いですよ」

「……まあ、うん、そうだね」




 向かい会いながら、しばし、無言が続く。どうしよう、何の会話したら良いの? というか、なんか会話の話題って仲良い人だと直ぐに出てくるけれど、あんまり……な人だと全く出てこないよね! って、そんなこと考えている場合じゃなくて!
 正直、無言が続くのだけは避けたい。は頭の中のタンスの引き出しを開けて開けて、なんとか話題になるようなものを引っ張り出そうと懸命だった。っていうか夢の中で何故にこんなにも頑張らなきゃいけないわけですか。何コレ、神様の意地悪? 神様の悪戯?

 少し、っていうか正直もう何時間も経っただろコレってぐらいにとっては長い時間が過ぎたころ、日本が思い出したように「あ」と小さく声を発した。




「そういえば……、さんは……何処の人なんですか」

「何処の人って……住んでるところ、だよね…?」

「そうです」

「日本に、住んでるけれど」

「……日本に?」

「そうだよ」

「……そうなんですか、でも、それにしては……なんというか、服が変ですね」

「お、オブラートに言葉を包んでください……」




 日本がの服を凝視してくるので、も今、初めて自分の着ている服を見てみた。
 ……パジャマだ。寝る前に着ていた、パジャマ。

 ……え
 …………え?




「ヒイイイマジでかああああ!!」

「え、あの、どうしたんですか」

「ちょ、ちょちょちょタイムタイム、ありえないから!」

「え?」




 思わずその場に座り込む。日本が何を勘違いしたのか、「気分が悪いんですか?」と訊いて来る。いや、気分悪いっていうか寧ろもう、こっち見んなって感じです。
 まさか……パジャマ……よりにもよって、パジャマ。普通だったら、普段着とか着ているもんじゃないの? 違うの?
 日本は何故か心配してくれて、ああ、優しい人なんだなあ。なんて、剣呑な視線を向けられていた数分前のことなんか全く忘れて、頭を撫でた。男の人にすることじゃないのだろうけれど。

 日本は一瞬静止して、それからの傍からズザーっと凄い勢いで離れた。見ると、顔が真っ赤だ。




「ななな、何するんですかっ!? 若い女の人が、こんなこと……不謹慎です!」

「ふ、ふきんし…っ!? 別に不謹慎じゃ無いよー、ただちょっと頭撫でたかっただけなんだよ……。
 気分悪くしたなら、謝るね、ごめん」

「頭…頭、撫でるなんてっ……せ、責任を取ってもらいますよ!」

「いや、あの、すいません。なんの責任ですか。っていうか正直、日本さんテンパってません?」




 ちょっと引きつった苦笑を浮かべながら、は日本に手を伸ばした──



 ところで、目が覚めた。
 しかも、天井に向かって手を伸ばしているポーズで。
 な、なにこの変なポーズ! 恥ずかしい! 誰にも見られなくて良かった!
 上半身を起こして、はぼんやりとする頭を、なんとか動かして、夢の事を考える。──夢……今日も、またあの夢の続きみたらどうしよう……。そんなことを考えながら、はベッドを降りた。





→続く


後書き……
って何を書けば良いんでしょうか……。とりあえず日本偽者すぎてワロタ。

2007/06/18