神田ってさー、スッゴク格好いいのにさー。何で不機嫌顔なの?


・・・あぁ?何言ってやがる。





幸せそうな、笑顔。





が、唐突にそう聞いてきた。
…格好良い?何言ってるんだ、コイツは。

そんな事を思いながらも、答えを返すと、は俺の近くにやってきて、言葉を発した。





「や、本当に格好良いよ!もう、最高、ってぐらい。
 只、そう思っただけだから。そう言っただけ。ごめん。」


「何で、謝る?」


「・・や、神田が怒ったように、言ったから・・・さ。
 少し、驚いて。うん。」





そういって、は、苦笑した。
心なしか、俺は少し胸に痛みを感じた。
違う、俺は苦笑なんかさせたくないのに。





「俺、は、怒ってない。」


「…うん。知ってる、分かってるよ。神田。」


「…だから。」


「うん。どうしたの、神田。」


「……苦笑いをするな。」


「えっ。苦笑い禁止令?」


「…。」


「あの、神田…?」


「俺は…、お前が、苦笑する所を、見たくない。」


「…何で?」


「…………いい、もう気にするなっ!」





そう言って、俺は今さっきまで居た場所から後ろ方向に踵を返し、歩き出した。
何を、何を言おうとしていたんだ、俺は。

早足に歩くが、がその後をつけて歩いてくる。
時折、が「神田ー!」やら、「神田ぁぁぁぁー」やら、呼びかけられるが、無視して歩く。

自分の部屋の前まで歩き、部屋の扉を開けようと、手をかけたとき。
が本当に大きな声で、俺の名前を呼んだ。



「ユウッ!!!」



神田じゃ無くて、ユウ、と呼ばれた事に、俺は少し驚いて、行動を止めてしまった。
少し動かずに居ると、が、俺の傍に来て、声を発する。





「も、逃げないでよ・・・。」


「逃げてなんか、ねェよ。」


「だったら、何で、自分の部屋に入ろうとするの。」


「…部屋に、用事があったんだよッ!」


「嘘。」


「…嘘じゃねぇよ。」


「…今しないと、いけない事??」


「…。」





ぐ、と言葉に詰まると、有佐が悲しそうな顔をして、言葉を発する。





「あのさ、神田。
 の事、嫌いになったの?」


「…んな訳ねェだろ…。」


「だったら、何で逃げるの。」


「それは─…。」


「ね、嫌いになったのなら、言ってくれれば。もう、近づかないから。」


「…違う。」


「だから…」


「違うって言ってるだろ。」


「…。」


「俺は、怒っても居ないし、お前の事を嫌いでもない。
 だから…、そんな悲しそうな顔をするな。」


「…?何で?」





の正直な問いに、一瞬言葉がつまったが、俺は言葉を続けた。





「…お前が、悲しそうな顔とかしてると、調子狂うんだよ!!」


「…なっ…。そ、それは…。」


「俺は、の、幸せそうな笑顔が、好き・・なんだよ!!」


「あ、え、う、嘘…。」





俺がそう言いおえると、は少し顔を赤くして、俯いた。
……荒立った息を整え、冷静になると、今さっき、自分がした事についての後悔が襲ってきた。

…俺は、一体何をして…。
突如、舞い戻ってくる顔の熱。

少し俯くと、の声が聞こえた。





…。神田の事、好きだよ。」


「・・っ・・・」


「だから、その…、神田がの笑顔、好きって言ってくれた事は、嬉しいな…。」





俺が顔を上げると、の照れ笑いが見えた。
少し、幸せそうな笑顔。

そう、この笑顔が好きなんだ。
…笑顔だけじゃない、自身の事も。

俺が少しそう考えていると、が俺の手を取って、歩き出した。
少し驚いたようにたちすくんで居ると、が又、少し笑いながら、言葉を発した。





「ね、おなか、空いてない?」


「…一応、空いてる。」


「でしょ?だから、食堂行こうよ!…手、繋いでさ。」


「…恥ずい。」


「恥ずかしくない。ね。食堂まで!だから。手繋ごう?」





俺が何を言っても、話すことは無いだろう。きっと。
渋々、「わかった。」と言うと、は又笑顔を見せて、「やった!」と、言った。

その幸せそうな笑顔に、俺は又、恋をする。



(終わり。)

キリ番1313番を踏んでくださった、真耶様のリクエスト、神田の甘夢でした、が。
どうでしょうか…。ご期待に、沿えているでしょうか。

甘いお話と言うのは、とても難しくてですね…。甘くないかも知れません。すいません。

甘くないかもしれませんが、頑張って書かせていただきましたので…!
気に入っていただけると、とても嬉しいです。
それでは、リクエスト、どうも有難う御座いました!!

2005.8.17