戦場で見て、

─惚れた。

女のくせに、強くて。
女のくせに、りりしくて。

強いけれど、何故かはかないような、

そんな女。





好き、嫌い?





此処は、の領地。
この前・・・色々あって、伊達の領地に攻め入ってから、伊達の者が密偵に来たり、なんやりして、
はもう、本当にうんざりしている。ごめんだ。本当に。

そんな事を思い、はあ、とため息をつく。
すると、何時ものように家臣の人たちが“どうしたのですか、様ッ!”と、心配そうな顔をしてやってくるのだ。
それに何事も無いように接するのも、疲れる。





「─争い、なんて。無かったら良いのに。」





ふいに口から出た言葉は、家臣の耳に止まり、
様ッ!なんて事を!」等、少し憤慨した様子で言ってくる。
正直、こういうのは苦手。

本当の事を言って、何が悪いのか、わからなかった。

そんな事を思いつつ、又ため息をつく。

どうせ、あしたも戦なんだ。
伊達軍との小競り合いばっかりな様な気がする。
しかも、相手から仕掛けてくるので、避けることが…まあ出来るかもしれないけれど、出来ない。

そんな事を思いつつ、就寝着に着替え、自分の布団に入り込み、目を瞑った。












戦場。
血の匂いが、鼻をつく。
むせ返るような、匂い。

もう、なれた。

の前には、伊達領の敵が一杯居る。
まあ、の横にはの家臣が一杯いる訳だけれども。

又、人の命が。
家臣が、居なくなってしまうんだ。

そう思うと、胸が痛くて。
絶対に、早く戦を終わらせたくて。

そんな事を思っていると、前方向から、声が聞こえた。





「…Hey,girl!」


「・・・・・・・は?」





聞きなれない単語に、は頭を傾げる。
なんていうことば?わからない。

そういえば、伊達の・・確か、政宗、だったかな。その人が、英語というものを使うということを聞いたことがある。
だとしたら、今に呼びかけたのは・・・、伊達の・・?

そんな事を思いつつ、目の前を真っ直ぐに見ていると、伊達の軍陣から、
一人の男の人が馬に跨ってコチラへと近づいてきた。





「・・・・・・・・伊達の?」


「ああ、俺の事知ってくれてるんだな?嬉しいぜ」


「知っているも何も、・・敵なんだから、当然でしょう。」


「Ha!言うねえ。」


「・・それで、何ですか。」





此処が戦場と言う事を分かっているのだろうか、この男は。
の所に馬で近づいてきたりして。が命令を出せば、の周りに居る人は全員アンタを襲うのに。
ありえなくないですか。この常識破りが。

そんな悪態を心の中でつきながら、伊達の次の言葉を待つ。
伊達は、真摯な面持ちで、言葉を続けた。





「・・・・・・・・休戦、しないか?」


「・・・・・・きゅう、せん?」


「そうだ。俺の所はお前のところと武田の所と、今戦ってるんだけどよ。
 正直、天手古舞なんだよな。」


「・・・・・・・・」


「だから。良いだろ?お前の所にとっても、良いはずだ。休戦は。」


「・・・・・・・・良い、けれど。」


「じゃあ、決まりな。OK,OK!
 帰るぜ、お前ら!」





が一言そう呟くと、伊達は手をパンパンと鳴らして馬を翻し、自分の陣地へと帰っていった。

家臣達が、が、呆然とした面持ちで、その後姿を見る。
伊達は、直ぐに陣を返し、自分の領地へと帰っていった。

なに、アイツ。

の頭の中には、その言葉しか浮かばなかった。
でも、休戦になったことは、本当に助かるし。余計な犠牲者出さなくてすむし。
も家臣たちに「帰ろう!」と、声を張り上げ伝えて、自分の領地へと馬を進めた。











馬の、ひづめの音がやけに耳に響く中、小十郎が俺に話しかけてきた。





「殿〜、良いんですか?あの・・・。」


「良いんだよ、先に武田の方片付けて。それからと又戦をする。OK?」


「OK?じゃ無いですよ!殿ぉ・・・、本当・・・なんか考えがあるんですか?
 は・・名は余り広がってないけれど、強い大名が一杯で有名なんですよー!ここら辺で!
 なのに・・休戦したら・・・!」


「Ah,うるせえ小十郎。
 お前は俺が負けてると思ってるのか?」


「うッ、え、・・・そんなことは・・・」





小十郎は、そういいながら目を少し泳がす。
ハッ、と呆れたように言葉を発する。すると小十郎が「何なんですか!」と怒ったように言葉を紡いだ。





「は!まさか、まさか殿!作戦があるんですか!?」


「あ?無い。」


「はあ!?どうするんですか、との、殿ぉぉぉ、この小十郎、悲しく思いますぞ!」


「Ah・・・、ほら、言うじゃねぇか。」


「へ?」


「お楽しみは後で、・・・ってな」





俺がそういうと、小十郎は又怒ったように「殿!」と言葉を発する。


そう、俺はアイツに惚れた。
戦場での凛々しい戦いの姿が、声が、凄い好きだ。
だからこそ、後からじっくりと闘いたいと、思う。

くっ、と喉を少し鳴らして笑う。


楽しませてもらうぜ、・・・!


一人、心の中でそう呟きながら、俺は顔に笑みを浮かべた。


やけに、蹄が土を蹴る音が、耳に響いた。





終わり。



キリ番、5555番を踏んでくださった様のリクエストで、
敵軍設定の政宗夢でした。が・・どうでしょうか。期待に沿えているでしょうか。
期待に沿えていなければ、すいません。そしてかなり遅くなりすいません。ジャンピング土下座します。

ですが、本当に頑張って書いたので、お気に召していただければ幸いです。
それでは、リクエスト。有難う御座いました!!

2005.12.14