「なあ、





縁側に座り、お茶を飲んで美味しさのあまり、ため息を吐いていると、
後ろから声をかけられた。
声の持ち主は、きっと元親だろう。

一応確認のため、振り向いた。
────やっぱり。元親だ。

元親は、の横に座り、「何してんだ?」と訊いて来た。
其れに「うーん。庭を見てるんだよ」と答えた。

元親はの答えに「ふうん」と言葉を漏らした。





「それにしても、元親こそ、何でこんな所に?」


「ああ、暇だったから、少し歩いてたら、お前が見えてよ。」


「ふうん・・・、元親も、暇なんだ?」


「ああ、暇。元就の野郎は何処か行くし。政宗の野郎は書類かなんかを片付けるのに忙しい、ってよ。」





そういって、元親ははあ、とため息を漏らした。
よっぽど暇だったのだろう。もつられて、ため息を漏らした。





「はーあ、もう。暇だよねえ」


「そうだな・・・」





言葉を発してから、空を見上げた。
雲は空に浮かび、ゆっくりと、泳ぐように横へと少しずつずれていく。
ああ、こんな風に雲を見て一日を過ごすのも悪くは無いけれど、折角元親が隣に居るんだ。
何かはなしをしよう。

そう思い立ち、は元親に話しかけた。





「ねえ、元親。」


「あー?」


「話、しない?」


「話ィ?何の話だよ。」


「あー・・・、っと。ホラ!あの、元親の領地にザビーが攻めてきたときの話、して欲しいんだけど。」


「ああ・・・、あの宣教師・・・ってか、何で名前知ってるんだ?」


「へ、あ、気にしない、気にしない!!!ね!!ほら、ザビザビ〜♪って唄ってたんなら、
 きっとザビー、って名前なのかな?って、思っただけだから!!」


「・・・ああ、そうかも知れねぇなあ。ザビー、ザビー・・・なあ。
 まあ、話してやるよ、今から。」





元親は、少しうんうん、と頷いてから、言葉をつむいだ。





「あー…まあ、何時だったか、忘れたが。お前の来る…大体、一月前ぐらいか。
 やってきた。…ザビー、が。
 でっけえ船に乗って、上陸してきたんだよな・・・。
 武士という武士はいねぇ。全員農民みてえな奴らばっかりだったな。」


「へーえ…農民。」


「ああ。農民。
 全員で“ザビー様のために!!”やら、言いながら襲ってきてな。
 農民だ、あんまり強くねぇだろ、と思ってたら、何かしらねぇけど、強くてな。」


「・・・へ、へえー・・・・」


「んで、ま。ちょっと苦戦してきたから、富嶽使って、倒しまくってたんだがよ。
 ・・・俺の部下が急に“との、とのォォォ!!”って、微妙に泣きそうな声で、俺の所に来た。
 一体、何があったんだ?と思ってな、“何があったんだよ”と、聞くと、アイツ凄く震えながら、こう言ったんだよな。
 “そ、それがしの目の前で・・・、人間がおにぎりになりましたぁぁ!!”って。
 信じられねぇよなー」


「・・・おに、ぎり・・・」





元親は、少し笑いながら、そう言った。

・・・や、おにぎり、おにぎりって・・・。
それって、ザビーの固有技じゃ無いか。
そうか、元親の部下がおにぎりに・・・。

凄く可哀想なお話じゃないか。うん。





「・・・んで、ま。ソレは笑い飛ばしてやったんだが。
 人間がおにぎりになるなんて、ありえねぇよなあ?」


「あ、うん、ソダネー!!」





ザビーの固有技を知っているが故に、何だか悲しい。
元親は“そうだよなー”と言って、又笑って、言葉を紡ぎだす。





「んで、まあ、最初らへんは優勢だったんだけどな。
 ・・・途中からか、劣勢になってきた。ザビー、ってヤツのせいで。
 こんなヤツに朱点使って、壊されるのは嫌だしな、と思って、俺がそのザビーって奴の所に出向いたわけだ。」


「へえ・・・、で?続きは??」


「ん、そうだな・・・・、一応は勝ったぜ、けど・・・アイツ。」





そういって、元親は「アイツ・・・・アイツ・・・・・・」と言って、顔を下に向ける。
何、何があったのだろうか!少し気になり、「何があったの!?」と聞くと、
元親は「アイツよー・・・」と、ため息を漏らしながら、言葉を続けた。





「・・・最後の最後、か?逃げる前に、俺に抱きついてきやがった。」


「・・・・・・・・・は?


「だから、腰に手を回されて。
 “OH!アナタ、素晴らしいネ!”とか訳わかんねぇ事呟いて…」





・・・・ちょっと待て、チョット待て!!!待て待て!!!
ちょッ・・・、元親に抱きついたァ!!?何で!どうして!!
だって、抱きついたこと無いのに!くっそう、うらやましいぞ、このやろう!!

そんな事を思いつつ、「ほ、他には何て言ってきたの?」と聞いた。





「ほ、他・・・?
 あー・・・っと、“アナタ強いね、スバラシイ!!”とか、
 “私ノ信者にナリナサーイ!!”とか、か?」


「・・・も、元親、そんな事されて、怒らなかったの?」


「ああ?怒ったぜ。武器でひっぱたいた。
 そしたら、直ぐに離れたけどな。その後、バサラ技をしようとしたら・・・、逃げてったぜ。」


「へ、へえー・・・・、ま、まあ良かったね・・・え?」





顔では笑いながらも、内心複雑な思いだ。
くっそう、元親の腰に抱きつく何て…、本当に羨ましい!!
その時だけで良いから、ザビーになりたかった。本当に。

自分の心の中を、悲しみと悔しさの念が渦巻いている。

ザビーよ、何時か会うことがあるならば、許さん!倒す!!

そんな事を心の中に秘めていると、元親が「・・・どうしたんだよ?」と、聞いてきた。





「な、何でも無いよ!ね。気にしない。」


「・・・?ああ。」





だって元親の腰に抱きつきたかった。”と考えていることを言えば、
引かれるだろう。絶対に。乾いた笑みを浮かべられる、か。

何言ってるんだよ、と笑って抱きつかせてくれるか、どっちかだ。

・・・たぶん、前者だろうなあ、と思うけど。

そんな事を考えていると、元親が心配そうに「どうした?」と聞いてきた。





「・・・あ、なんでもないよ、少し考えてたんだ。ごめんね。
 んで!続きは?どうなったの!!?」


「あ、ああ・・・
 んで、アイツ達は船に乗って、逃げたんだけどな。
 それから、一月、ずっと安心して暮らしてた。
 お前が来る、3日ぐらい前に、元就が遊びに来て。
 ・・・・お前が、やってきたんだ。」


「そうなんだ。」


「ああ。ま、最初はあんな無礼な事したけれど、
 今では、お前に会えてよかった、って思うわ。」





そういって、元親は嬉しそうな笑みを顔に浮かべた。
お・・・・、お前に会えてよかった、って、元親・・・!!殺し文句じゃ無いだろうか。

凄く嬉しくて、会えてよかった、と言う言葉が、深く心に染み渡る。

嬉しい、どうしよう、どうやってこの嬉しさを表現しよう。
・・・・抱きつけ!と、頭の中にある煩悩が喋る。そうだね、抱きつこう!!
思い立ったが最後、直ぐに元親に抱きついた。


・・・まあ、抱きついたといっても、腰に手を回しただけだ。
それだけでも、元親は顔を凄く真っ赤にさせながら「うおお!!?」と、素っ頓狂な声を出していた。





「もおおう、元親大好き!好き!!」


「はッ!?ちょ、おまえ、どうしたんだよ!!?」


「好き、好きだー!も、元親に会えて、嬉しい!!」


「す、好き・・・って!!おまえ・・・、は、はず・・・っ」





最初、元親は何度も抵抗して、の手を振りほどこうとした。
そんな力での手を振りほどけるとでも!?
否、無理!!今、は最強に近いんですよ、元親!!

そんな事を思いつつ、ずっと抱きついていると、次第に元親も観念して、抵抗をしなくなった。
その代わり、上から「くそ・・・ッ」と、小さく悔しがるような声が聞こえた。


微妙にそれが可愛くて、少し笑ってしまったら、元親が頭を叩いてきた。




日常の、幸せ
それは、君に出会えた事
君の、傍に居れること



(終わり。)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
TOPにて行っているアンケートで“長曾我部VSザビーの詳細を、思い出語り風に…!”と言う要望がありましたので、
書かせていただきました。どうでしょうか。
最後らへん、元親夢っぽくなってしまいましたね。すいません・・・・!!
本当は、もっと違う感じにしたかったのですが・・・うううん。無理でした。
思い出語り風、と言う事でしたが・・・、どうなんでしょう?ご期待に沿えていると、嬉しいです。本当に!
他にも、アンケートで要望が多いものは、短編にてUPさせていただきます。
これは、それの・・・第一弾、ですかね。ハイ。

楽しみながら書いたので、皆様にもその楽しさが伝わることを祈って!
それでは。