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今日は、彼女に会える気がしたのだ。 家の外に出て、周りを見渡す。一時の感情に身を任せるなんて、馬鹿のすることだと思っていたが、何故だろう、確信めいたものがあったのだ。 彼女に、会える。絶対に。 最近、全く会えなくて。窓から外を見つめつつ、侵入者が居たら銃を撃ち、縛り上げ、領地の外へと捨てる。そんな事を繰り返していた。 窓から見える景色は、とても広く美しく──彼女が気に入っている。我輩も、窓から見る景色は好きだ。そう言ったら、「一緒だね」と小さく彼女は笑いを零してくれた。 なんだか嬉しく思ったのは言うまでもない。 今日も窓から外を見ていたのだが、何故だろう。会えると思ったのだ。そう思うと、居てもたっても居られず、窓を閉め、外へ飛び出した。と言っても、広大な領地を見回るわけにもいかず、家の扉の前で腕を組んで待っていることしかできない。 息を吐くたびに視界が滲む。今日は、寒い。だからといって、部屋に戻る気もせず、その場に突っ立って彼女が来るのをひたすらに待っていた。 そうして、陽が落ちる頃。彼女の姿が、現れた。目の前に、急に。でもそれは何時もの事だから、驚きはしなかった。けれど、彼女の方は驚いたようで「わっ!? す、スイス!」と素っ頓狂な声を上げた。 「え、ちょ、スイスーあれー」 「何だ」 「んえ、ああ、うん。えっと、こんばんは、かな」 「……ああ」 「えー、なんでスイス、こんな所に?」 「……偶然、外に出たときに、お前が来たのである」 口からでまかせを言う。は苦笑を浮かべ、「そっか」と呟くように言った。 嘘が通じたのだろうか、なんて思えるはずもない。彼女の視線は、明らかに我輩の手に向いていた。 身体は正直だ。だから、指先が薄い紫色をしているのに気付いたのだろう。 の視線から逃がすように手を後ろへとやり、「それより」と言葉を発した。 「早く家に入るのである」 「んー、うん、良いの? 入って」 「外は寒いであろう」 「ああ、そう言われれば寒いね……」 彼女は苦笑を浮かべた。なんてマイペースなのだろうか。そんな事を考えつつ、つられて苦笑を浮かべた。 「……それに我輩が入れと言っているのであるから、良い」 「そっかー。うん、じゃあ、お邪魔しまーす」 家の扉を開けて促すと、はにへらと緊張感の無い笑みを浮かべつつ、入っていった。全く、こいつは……、という思いが胸を占めるものの、やはり久しぶりに見た笑顔は想像以上に嬉しいものだ。思わず、頬が緩みそうになるのを押し留め、自身も家へと入る。 ──冷たくなった体に、家の中の温かさのおかげで、体温が戻っていく。ただ、手の薄紫色は、まだ治りそうにない。 手をそっと頬に当てると、ひやりとした冷たさが伝わった。 が「スイス?」と我輩の名前を呼ぶ。それに「何だ」と返す。 言えない。言えるわけがない。 どうしてか、などと。 ……お前に会える気がしたから、外でずっと待っていた、などと。 言えるはずがない。こんな恥ずかしい理由で外で待っていたなどと、知られてはいけない。頬を少し赤く染めつつ、の近くへと歩いていく。 薄紫色の指先は、少しずつ色を取り戻していった。 (終わり) スイスー。好きだスイス。スイスー!!!! 2007/08/18 |