寒い、と思う。
オイオイ、この前までの暖かさは嘘だったのか、と問い詰めたいぐらいに寒い。
外に出たくも無く、かといって家でゴロゴロしてるのもなんだし、

どうせなんだから、政宗達にパソコンの使い方でも教えようかな、と思った。





Act.10 パソコンの使い方





「んで、こうやって、起動する、と。」


「…へーえ…。」


「す、凄い、凄いでござるよー!」





そう言って、政宗と幸村はパソコンの液晶を食い入るように見つめる。
ウイイイン、と小さくパソコン自体が音を立てた。

事の始まりは、今日の朝に戻る。





外にでも出かけようかな、桜も少しずつ咲いてきたらしいし。
そう思って、窓の外を見る。太陽が明るく差し、なにやら暖かい陽が差し込む中、
そう、風がとても元気だった。

元気っつーか、もう嵐ですよ、春の嵐。
風がゴウゴウと、音を立てているのが、窓 一枚隔てた部屋の中でもよく分かった。


駄目だ。無理。外に出られない。っていうか、こんな春の嵐状態の時に外へ出たら、死ぬ。
出かけるのを諦めて、どうしようかなー、暇だなー、と思っていたとき、目に入った。

パソコン。


そういえば、政宗と『パソコンの使い方、教えてあげる』的な約束をしたことを思い出した。
暇だし、教えるか。うん。





そう考えて、今に至る。
政宗に教えていたら、朝のニュースを見ていた幸村もやってきて、
は政宗と幸村に挟まれてパソコンの操作を教えている。おお、至福…!!

どうしよう操作中に鼻血出したら。恥ずかしさで死ねるかもしれない。いや、死なないけど。
そんな事を考えつつ、必死に平常心を保ちつつ、操作の仕方を教えた。


インターネットの仕方とか、文章の打ち方とか。
ローマ字の事についても、少しだけ、教えた。ら。
早速、政宗が「なあ、一回、やってもいいか?」と訊いてきた。





「…文章、打ちたいの?」


「Ah,…打ちたい?……まあ、文章書きたいな。これで。」


「おおお!政宗殿、文章を、この面妖なモノで書くのでござりまするか!
某、横で見て居ても良いでござるかー!?」


「……良いけど、変な事すんじゃねェぞ。」


「…む。酷いでござるね。某、そんなに変な事はしませぬ。」


「……そういうこと言ってるやつが、変な事ばっかりするんだよ!
You see?」


「わかってるでござるー。」





政宗と幸村が、なにやら言い合っている。うん、なんか喧嘩する程、仲が良いっていうか。
そんな感じなのだろうか。うん、きっと、そうなんだろうなー。

そんな事を思いつつ、文章を打った後、保存する時は、こうやって、保存しないときはこうするんだよー、と、
教えてあげた。政宗は、真剣に聞き、「わかった。」と一言だけ言って、文章を打ち始めた。


これは、横で間違ってたら言った方が良いのかな。
そんな事を思ったけれど、何か文章を書くときは、はあんまり見られたくないし。
その場を離れようとした時、幸村が「殿!」とを呼んだ。

んー、なんだなんだー?

そんな事を思って、パソコンの液晶を除く。
パソコンの液晶には、小さな文字で、言葉が申し訳程度に書かれていた。





『さなだゆきむら
だてまさむね』





と。

幸村が、「これは、ひらがな、と言うものでござろう?漢字にするには、どうしたら良いでござるか?」と、訊いて来る。

それに、ここを押せば良いんだよ、と言ってスペースキーの存在を教えた。
幸村が「へえ!そんなモノがあったでござるか!」と感嘆し、政宗が「じゃあ、こうやるんだな!」と言って、
たどたどしく人差し指で、同じ文章を打ち、スペースキーを押した。





『さなだゆきむら
だてまさむね
真田幸村
伊達正宗』





幸村が、「おお、凄いでござるー!」と驚いたような声を出す。
政宗は、「……俺の名前の漢字が違う。」と一人、少し悲しそうな声を出していた。

うん、キミの漢字は政、だよね。決して正、ではないもんね。
そんな事を思いつつ、その正の部分を消して、政、に変えた。
幸村が、「!どうしてそんなにもはやく、打てるのでござりまするか!」と、驚いたような声を再度出していた。


…いや、……うん。
何か……すんません。


少し切なく思いつつ、「あはは、ま、まあ!良く使ってるからかな。」と、乾いた笑いを浮かべつつ、
そう返すと、「じゃあ!某も、頑張れば、殿みたく、速く文章を打てるのでござるね!」と、
嬉しそうに言っていた。

…幸村が、凄い速さで、しかもブラインドタッチで文章を打つところなんて、想像ができません。


はは、と又もや乾いた笑いを浮かべていると、政宗が「なあ、文章ってどうやって消すんだ?」と訊いてきた。
それに、こうやるんだよー、と言ってやり方を教えると、政宗は「Thank you!」と言ってから、
上のひらがなで書いてある字を消した。





「…じゃあ、なんて書くか…。そうだな。
My name is Masamune とでも書くか。」





何故 英語。
そんな疑問が頭を渦巻いたが、気にしないで置いた。いや、気にしちゃ駄目なんだ!
そう、BASARAだからね!なんでもアリだよ!ってか政宗は英語が好きなんだ、きっと!

だから気にしたら負けだ、!!


政宗が、嬉しそうに文章を打つのを尻目に、
幸村が「……某にも、後でパソコンで文章、打ちたいでござるよ。」と、
ポツリと呟いていた。



数十分経って、政宗が「出来た。」と小さく、でも嬉しそうに呟いた。
どうなったんだろう。そう思って、「どれどれー?」と言って、近づいた。幸村も、同様、近づく。

パソコンの液晶には、



『my なめ いs まさむね』



…は?どうした。政宗。
パソコン画面を見つめつつ、唖然とした表情で居る。
あ、そうだ。英語の打ち方、教えるの忘れてた、んだ、けど……。

これは、一体。

幸村が、「………は?」と、怪訝そうな表情を見せて、そう呟く。
あたしも、一瞬、理解できなかった。何、この文字。
だけど、次の瞬間、唐突に理解した。

…この人は、パソコンのキーボードの英語の部分だけ見て、打ったのだと。
…だから、is は いs になり、name は、なめ になったのだと。
そう、それもこれも全て半角にすることを教えてなかったが悪いのだと思う。うん。

だけど、さ。


一瞬思考回路がショート寸前だった、真面目に。





その後、政宗に英語の打ち方を教えてあげた。半角にするだけだけれど。
政宗が、打ち直した。
パソコンの画面には、
「my なめ いs まさむね」の下に、「My name is Masamune」と言う、文字が並んだ。


一応、その文章は保存しておいた。
いつか、何かの、思い出になるかもしれないし。


はは、と少し苦笑を漏らしつつ、そうこうしているうちに、
もうお昼だと言う事に気付いて、お昼の用意をはじめた。
政宗と、一緒に。

幸村が、政宗がパソコンの前から席を外すのを見て、嬉しそうに笑顔を浮かべて、
「某が文章を打つでござるよ!いざ、参るゥゥゥァァ!!」と、叫んでいるのが聞こえた。


政宗が、「……うるせぇ」と言って、包丁を投げようとしていたのを止めるのは、
とても大変だった。本当に。







NEXT


後書き。


………。アハハン。なんっつーか。すんません。(何!)
こう、ね!実は最後にほのぼのを入れたかったのになあ、とか思ってます。
幸村の打った文章が。ほのぼのしたいなー、とか思ってたんですが。

ネタが無いんです。必死です。ネタを下さい。待ってます……。


2006.4.2