今日は、ちょっとレンタルビデオ屋さんに寄ってみた。
なんていうか、突然ホラー映画を見たくなったから。
突如見たくなるホラー。何でだろうか。





Act11.きっと。





って事で、ビデオを借りた。ホラー映画だ。
そんなグログロでも無く、おどろおどろしいのでもなく、
テレビにCMが、よく流れていて評判も好評だったものを。

デッキに入れて、よし再生!と思ったところで、
幸村が、其れに気付いたようで、「?何をしてるでござるかー?」と、言って近づいてきた。






「えーと、怖い映画、見るんだけど…、幸村さんも、見る?」


「怖い、映画??…なんだか、面白そうでござるな!
 見たいでござるよ、殿!」


「じゃ、一緒に見よっか。」





がそういうと、幸村が「そうしましょうぞ!」と、嬉しそうに声を弾ませて言葉を返してきた。
…ちょ、おまっ……!何コレ。あれか。に鼻血を出せようとさせる新手の策略か。違うよね。
そんな事を思いつつも、手で鼻を押さえていたら、政宗が後ろから「What? どうした?」と声を掛けてきた。

いや、なんつうか、もう…。
政宗に心配されて嬉しいっつーか、なんていうか…ニヤケ笑いがこみ上げてくるのですが。
さすがに、急に笑っては駄目なので、「なんでも、無いよ…!」と苦し紛れに声を出しつつ、
「政宗さんも、映画、見る?」と訊いてみた。


すると、政宗は、首を傾げつつ、「映画?なんだそれ。」と、言いつつも、
の横に座り、「まあ、面白いんだろ?俺も見させてもらう。」と、言葉を続けた。


…え、何これ。
右に政宗、左に幸村。

まさしく、両手に花!状態じゃん!!
どうする、どうするよ、!!


自分の心の中で盛大に、自分に対して問いを投げかける。当然、答えは出ない。
っていうか、心の中から「ホニャララすれば良いよ!」とか急に声が聞こえてきたら、驚く。泣く。ちょっと病院行く。


あはは、と少し乾いた笑いを浮かべつつ、映画をスタートさせた。





アレ。、選択ミスったかも知れない。
何この映画。怖い。
アレーちょっと待って、え、『あんまり怖くなかった』とか、『…ストーリーが良かった。』とか、
そういう感想ばかり、その映画を見た人は言っていた気がする。のに。


ちょっと真面目にこれちょッ……ストップだって!!!止まってくれ!!


は、怖いものに対しては、常人並みの驚きしか、示さないと思う。
お化け屋敷に入ることは、友達とか家族と一緒だったら入れるし、
ホラー映画もそこそこ見れるはず、だった…よね。うん。そのはず。


なのに。



これ、怖くてストーリー自体が頭に入ってこないんですけど。
え、何、いつの間にこんなにも極度の怖がりに。


幸村も、こういうホラー系に思いのほか驚いているらしく、
の服の裾を手で強く、掴んでいた。

最初は、幸村も、こういうの怖いんだー、可愛いなーアハハウフフ。とか、思えたのに。
今は、…………なんていうか。こう、アレだ。
が幸村の服を掴みたい気分というかなんというか。


そんな事を思っていると、また、怖いシーンでも入ったのだろうか、
幸村が「ひッ!」と小さく、驚いたような声を発し、裾を掴んでいた手が離れ、の手に触れてきた。

人間、やっぱり怖い時に、そういう温もりがあると、異常に力強く握ってしまうもので。
の手は、幸村に、それはもう力強く、握られた。



…ちょ、あなたは武将じゃん。、一般人ですよ。パンピーですよ。
そんな、昔から空手とか剣道習って今、実は凄い強いんです!男なんて一撃必殺食らわせたら即行気絶、もしくは逃亡するんだよね!!なんて、たくましい身体をお持ちじゃないんですよ。




気付いてください。幸村。
の手、今、物凄く痛いんですよ。
幸村がもう超人並の力で握ってくるから。



お前、こっちはレディーだよ、女だよ!
痛い痛い痛い痛いってば幸村ァァァァァァ!!!!!!
何コレ、愛の試練か!いらないから。


映画よりも、幸村の手から逃れようと四苦八苦している。
あ、ちょ、なんというか骨がベキベキいってる気がする。いや、あくまで気がする、んだけど!


そんな事を思っていたら。
突如、幸村の手が離れた。
え、何これ、考えが通じたの?テレパシー?いや、そんな馬鹿なありえん!


幸村が、「ッ!!」と、痛そうに顔をしかめて、腰の辺りをさすっている。
何、どうしたんだ、幸村。何があった。


そんな事を思っていると、幸村が「いッ…たいでござるよ!伊達殿!!!」と、怒ったように声を荒げる。
いや多分絶対怒ってるだろうけど。

っていうか、何したんだ。政宗。
そんな事を思っていると、政宗が「HA!」と、軽くあしらうように笑い、言葉を続けた。





「お前こそ、酷いと思わねぇのか。
 自分の行動省みてから、俺の事を悪く言え。」


「そ、某の何処が酷い…ッ?」


「…Ah,お前、の手、見てみろよ。」


「…へ?」





言い争いをしていた幸村が、の手に視線を落とす。
の手は、きつく握られた跡、つまり、赤い手の形がくっきりとついていた。

其れを見て、幸村が「…ッ!こ、れは…。」と、少し声を震わせて言葉を紡ぐ。
政宗が「お前、凄い力で握り締めてたぜ?が痛がってるの、気付かなかったのか。」と、言葉を続けた。


幸村は、今さっきまでの威勢は何処かへ、顔を俯かせて。
に向き直り、その赤い跡がついたほうの手を取り、「…す、すみませぬ……。」と、
本当に、申し訳なさそうに小さく呟いた。

それに、「あ、いいよ、気にしないで。」と言うけれど、幸村はずっと顔を俯かせたままだ。





「幸村さん。」


「…某、気付かなかったでござる。
 殿が痛がっていることなんて…。強く握ってしまって、申し訳ありませぬ…ッ!
 なんといえば良いのか、どれだけ謝っても足りないでござるな…。」


「…あのさ、もう気にしなくて良いからさ。
 っていうか、気にされすぎると、こっちも気になってくるからさ!
 気にしないでよ、ね。さあさあ、映画の続きを見ようー!」





その場をしきりなおすように、明るい声を出して。
気にされてると、こっちも気になる。強く握ったこと、気にしてない、と言えば嘘になるかもしれないけれども。

映画を止めるのをすっかり忘れていて、なにやらもう凄い盛り上がり部分に来ている。
巻き戻しをして、映画の続きのシーンから、見はじめた。

幸村は、やはり今さっきまでの事もあってか、最初はテレビ画面すら見なかったのだけれど。
叫び声、とか。そういうのが聞こえてくると、やっぱり怖いようで。身体を少し震わせているのが見て取れた。

だから ──
幸村の手を、自分から握った。振り払おうとしたら、直ぐにでも手を離すつもりだった。
けれど、幸村はそんな素振りを見せずに、驚いた表情をこちらに見せてから、
小さく、「殿、」と呟いて。その後、「……ありがとう、でござるよ!」と、嬉しそうに笑って、言った。


嬉しく思ってたら、もう片方の手にも、暖かい感触がした。
見てみると、政宗が、の手と、自分の手を繋がせている。


こ、れは…!何これ!両手に花状態、再来!?
思わず、頬がニヤけた。




映画は、とても怖いはずだった。
感想が、『ストーリーが良い。』、『そんなに怖くなかった。』。そんなものだけだったから、見て。
本当に怖くて。正直、自分はこんなにも怖がりだったのか、と思ったけれど。


それでも。


今、頬がニヤけているのは。
嬉しくて、ホラー映画が、終半、全然怖く思えなかったのは。

きっと、二人のお陰なんだろう、と
きっと、つながれた手の温もりのお陰なんだろう、と


思った。



NEXT



(後書き。)

WEB拍手で、頂いた、ネタを元に書きました。
うわあ有難うございましたー!楽しくかけました。

政宗に嫉妬、させる、筈、だったのにな…。
又、いつか。嫉妬させたいと思います、よしなに!(何)

それではでは。

ちなみに、
パンピーとは、一般ピープル の略です…。知らない人も居るかな、と思いまして。


2006.4.10