春に三日の晴れ無し、とは良く言われる言葉だ。

春は、なんだか知らないけれど、気象が簡単に変わるらしく、晴れが三日続くことは、本当に全然無いらしい。
でも、今日は何故か、晴れ。そう、晴れたんだ。
とても暖かい陽が照っていて、何だか眠たくなるような、春の晴れ。

そんなとき、ある遊びを思い出した。




Act14.影おくり





空が、青い。とても。
雲が、ちょこちょこ出ているものの、日の光を遮るほど、出ているわけでもない。
風も、あまり吹いてなくて、絶好の遊び日和だ。

少し、散歩に行きたくなって、二人を誘った。





「ね、散歩行かない?」


「良いでござるよっ!」


「ん…、良いぜ。」


「じゃあ、行こうか。」





案外、簡単に返事をくれた。
渋るかな、と少し思っていたのだけれども。

用意をして、外に出る。
ポカポカと、暖かい日が直に身体に当たる。
うわーあったかー・・・!!


二人が、「暖かいな。」「そうでござるな!」「こういう日は、色々と何かしたくなるよな。」「へ?何ででござるか?」等、
話しているのが聴こえる。幸村の問いに、「だからっ!」と、怒ったように、言葉を返している政宗の声も。
いやいやいや、怒るのはやいよ!政宗さん!何で?、って聞いただけじゃん!

心の中でツッコミを入れつつ、近場の公園に行った。

前に、花見に来たところとは違う、公園だ。むしろ、あそこを公園と呼ぶのかどうかはわからないけれど。
ここの公園には、遊具が一杯あって、子供が良く遊んでいるのを見かける。
幸村達が周りを見渡して、「・・?むっ、此処は何処でござるか?」と、に質問をぶつけた。





「此処はね、遊ぶ所。」


「へーえ…。遊ぶ所、でござるか…。」


「ん、静かだな。」


「そうだねー…。朝だし。
 あんまり、人居ないよ。のんびり出来る。」


殿の、のんびり出来る場所は、此処でござるか?」


「んー、他にも一杯あるけどね。
 静かな場所だし・・・・。」


「へえ、某は、お館様の近くが一番のんびり出来るでござる!」


「俺は、やっぱり自分の…邸、それと、仲間の居る場所、だな。
 静かな所も好きだけれど…な。」





そういって、政宗は近場に在ったベンチに座った。
木が青々と茂っている。桜の木ではないため、花は咲いていない。

は、近くのブランコにまたがり、思いっきり漕いだ。
あー…久しぶりだ。ブランコに乗るの。

そんな事を思いつつ、風を感じる。春の風は、少し暖かかった。
幸村が「殿、楽しそうでござるっ!某、某も…、乗り方を教えてくだされ!」と、言ってきた。

は一旦ブランコを止め、幸村の傍に行き、「うん、教えてあげる。」と言い、
幸村の手をひいて、ブランコの上に座らせた。





「?これで何をするでござる?」


「後ろから押してあげるから、そのままで座ってて。
 あ、ちゃんと横にある鎖みたいなのに捕まっててね。」


「はい、でござる!」





トン、と幸村の背中を押す。
すると、ブランコが力を入れた方向に、スゥ、っと動いた。
後ろから押すのを何度もやっていると、とても高いところまでブランコは上がっていって。

幸村が「楽しいで御座るッ!」と、嬉しそうな声で言っているのが聞こえた。
政宗は、そんな幸村を見て、何を思いついたのか、の所に来て。
俺が押してやるよ、と言う言葉を言い、重力に従い戻ってきた幸村の背中を、
思いっきり、押した。


…え、普通手加減するよね。
だって、ブランコって本気で押したり、力の加減をしながら押さないと、
こう、何て言うの。…360度縦に、回るよね?





「…え?」


Are you ready,guys?
 Let's Party! YA-HA-!!



「は!?えっ!!?ちょっ!!!
 ちょっ、まっ・・・伊達殿ォォォォァァッ!!?」


「Ha!楽しんで来いッ!」


「何をで、ござるかぁぁっ!!?
 っていうか、ちょっ、この乗り物、縦にいっしゅ・・・っ!
 あ、あれ、ちょっ、死ぬ、死んじゃうでござるよぉぉぉっ!!」


「こんぐらいで死ぬな!
 Cool じゃ無いねぇ!」


「く、くぅるじゃ無くても良いでござるからー!!」





はい、只今幸村が、凄い高さへと、ブランコと共に上がっています。
後もう一押ししたら、ブランコと共に世界一周…もとい、ブランコが縦に一、二回、まわるのでは。

うわー、怖いなあ。としては断然拒否したい。
そんな事を思いつつ、内心焦りつつ、その状況をどうやって止めようか、と考えていた、ら。




「っうっ、わっ、あああああ!!お、お館さむわああアぁぁぁァぁっ!!!」


「Yeah!一回転、成功ッ!」





どうやら、幸村はブランコと縦に一回転をしたようです。
一回転、おめでとう。…じゃ、無くて。止めなければ。


「せ、成功じゃ無くッ…!!」


「二回転目行くぜー。」


「い、やっ、ちょっ、政宗殿ォォォ!!
 殿、政宗殿を止め……ッ!!」





幸村の、本当に嫌そうな声が、公園に響く。
っていうか、手離せば良いのでは。
…そんな事を思っても、幸村はが“しっかり捕まっていてね”と言ったからか、
ぎゅう、と効果音がつきそうな程に鎖にしがみついていた。

…って、観察している場合じゃないだろう、
幸村が助けを求めているんですよ!?助けなくては!
そう思い立ち、政宗の手を掴んで、止めた。





「政宗さん、幸村さんが可哀想だよッ。
 ほら、一回転しちゃうんだよ?360度!怖いって!絶対!
 だから、ストップしよう!他の遊びしよう!」


「…しょうがねぇな…」





そういって、政宗は幸村の背中を押していた動作を止める。
がブランコの鎖を持ち、幸村とともにまたもや縦に一回転しようとするのを止めさせると、
少し涙目の幸村が「・・・っ殿ォー!」と言いながら、
の腕に、しがみついてきた。

…か、可愛いッ…!
何、この涙目!そして、蒸気した頬は!
やめて!を殺す気ですか、幸村。

そんな事を思っていると、政宗が少々不機嫌そうに、問うて来た。





「んで、他の遊び、って何だよ?」


「んー、あ。
 そうだねー。他の遊び…、影おくり、とか?」


「影おくり?」


「そうっ!影おくり。全然危なくない遊び。」


「…危なくないのか……チッ
 んで、影おくり、って言うのは、どうやってやるんだよ?」


「え、今さっき舌打ちした?したよねえ。」


「気にするな。
 んで、どうやってやるんだよ?その、影おくり、って奴は。」


「んー、っとね…。
 まず、例えばと、政宗さんと、幸村で、並びながら、
 自分達の影を、10秒間見つめる。絶対に瞬きしちゃ駄目だよ。
 んで、見つめた後、空を見上げると…、まあ、やってからのお楽しみ、って所かな。」


「ふうん?じゃあ、やってみるか…。
 おい、幸村、並べ。」


「うう…。某、絶対に、もう政宗殿の隣、近くには行きたくないでござる…。」


「じゃあ、。早く横に並べ。」


「命令口調ですか…。…いや、良いけど…。」





そう言って、政宗の横に立つと、幸村も少しビクビクしながら、の横に近づいてきた。
その後、政宗はじい、っと影を10秒見つめると、空に顔を上げ、「……すげぇ」と、感嘆の声を上げた。
幸村も、又「凄いでござるっ!」と、声を漏らす。

も、10秒間影を見つめ、空を見上げる。
空には、3つの影の形を浮かべている。


影おくり。
影を、空に送る。

あー、何か神秘的なんですが。素敵。
春の晴れた、青い空に、白くぼんやりと浮かぶ影。

ううん、アレだ。写真みたい。
…顔は、写ってないけれど。





「ッ、す、凄いでござるぅ!本当にッ!
 某、それがし…!感動したでござるぅぅ!」


「Ah…。すげぇ、な…。本当に。
 空に、影が…。だから、影送り、って言うのか。」


「そうだね・・・、凄いよね。うん!」


「むっ…。アレでござるっ!
 あの、シャシン、と言う物に似ているでござるなー!」


「あー…。そうだよね!
 も、少し考えてたんだ。その事。」


「シャシンは顔が写っているでござるけれど、
 これは…、何と言うか、白い色で、身体をかたどっていて…、
 顔は写ってないけれど、素敵でござるっ!」


「…まあ、何だかのんびり、ほのぼのするな。」


「だねえ、…って!もう、こんな時間ッ!?
 ちょっと、幼稚園の皆様が集まってきて、微妙に恥ずかしくなる時間だから、帰ろう!」


「ヨウチエン?」


「そう、小さい子が行く…勉強する所、って言えば良いのかな。」


「ふうん、色々あるんだな、此処には。」


「うん。まあ、ね。
 んじゃ。帰りにお菓子でも買って、帰ろう。」


「お菓子でござるかっ!?
 そ、それがし…ッ、団子…いや、この前食べた、ぷりん、と言う物を、
 もう一度食べて見たいでござる!」


「プリン?分かった、良いよ!じゃあ、買いに行こうか。」


「ぷりん、ぷりんでござるー!」





嬉しそうに笑う幸村を見て、少し苦笑しながらも、近場のコンビニへと、向かった。

プリンを買い、他にもお菓子、ジュースなどを買った。
それらが入った袋を嬉しそうに、持っている幸村。

ああ、何だか見ていて微笑ましいのですが!
袋を持っている方じゃ無いほうの手は、の手をしっかりと握っていて。
政宗も、の繋いでいない片方の手を、しっかりと、握っていて。

太陽の光りをさえぎって出来る影を見ながら、
ああ、何だか家族みたいだな、と、少し思った。





NEXT


(後書き。)


今日は、今晩は、おはよう御座います。蒼です。
はーい!影おくり!!学校で習ってました。昔、国語の時間に。
国語の時間なのに外に出て、影をじぃ、っと見つめて居ました。

周りから
「ッ!?め、目、閉じちゃったよー!」「あーッ!首から上、うつってないよー!」「ちょっ、え!10秒間、無理!」等、
声が聞こえてきたのをはっきりと覚えています。

あー、あの頃はわかかったなー。小4だもんなー…。

っていうか、家族!?家族なのか。もう、良いよ!
ほのぼのとした夢小説書きたかったのです。

ブランコと共に、縦に360度まわっていた男の子を見たことがあります。
半泣きしてましたよ、AHAHA。(笑うな)
その頃、私は幼かったので、ダッシュで逃げましたが。
…いや、本当に驚いたんです。かなり。
え、私だけですか。っていうかブランコって本当に一回転はするんです。

それではでは。

それと、春に三日の晴れなし、は天気予報で言っていたのですよ。
・・・・なんというか、そのとおりですよね!


2006.4.21