そっと、軽く置かれた手。
それは、暖かくて優しくて、
酷く安心の出来る。





Act16.優しい手





微妙に、起きたとき、身体を重く感じたのは気のせいでは無かった。
頭に、軽く叩かれているような痛みを感じたのも、気のせいじゃ無かった。

何故か。それは、今がもっている体温計が示している温度でわかった。
・・・・微熱。だと、思う。多分。
平均体温よりも、少しばかり高い。

季節の変わり目だから、風邪をひかないように、と
用心していたのに!酷い!!裏切られた!

微妙な切なさを自分自身に感じつつ、はあ、と溜息をついた。
その溜息が聞こえていたのか、幸村がに向かって声を掛けてきた。





殿、ため息をつくなんて、どうされましたかっ!?」


「え?いや、その・・・気にしないで。
全然、なんにも無いからさ。うん。」





少しぼうっとする頭を必死で動かし、幸村に言葉を返す。
言葉が、ちゃんと発音できない。うわああどうする、どうするよ

の反応がいつもと違うと思ったのか。
幸村が心配そうな面持ちで、座っていたソファーから降りて、の方向へと近づいてきた。





殿?どうしました??
なにやら、顔色が悪いでござるよ。」


「あーえー・・・。うん。」





傍に立ち、「・・病気・・でござるか?ちょっと失礼。」と言いつつ、
幸村は、の額に手のひらをつけた。おあ、微妙にあったかい。

そんなことを頭の隅で考えていると、
幸村が手のひらを離し、「・・・微熱、でござるか?」と訊いてきた。
其れに「多分。」と返すと、幸村が、の手を取り、言葉を発した。





「でしたら、早く寝なければいけませぬぞっ、殿!」


「・・・え?」


「え?では無くて・・・。
風邪を引いているのでござろう?それならば、安静にするのが一番!でござるよっ!」





いや、だけど、微熱だし・・・・。我慢できるし、大丈夫だよ。
そう言おうとした。けれど、口を開いた瞬間、幸村がの言葉を遮るように、
「政宗殿っ!」と、政宗の名前を呼んだ。

幸村と同じ様にソファーに座り、ぼう、っとしていた政宗は、
「・・What?」と、言いつつ、幸村のところへと近づいてきた。
幸村はの傍にいるので、無論の傍に近づいてきたことにもなる。


ウハーどうしよう、格好良い人が二人。眼の癒しだね、これは!眼福。
そんな事を思いつつ、思わずニヤけそうになった頬の筋肉を必死で食い止めていると、
幸村から事情を聞いたのか、政宗もの額に手を置いた。




「・・・AH,・・・なんだ?熱があるじゃねぇか。
風邪か?」


「多分、そうだと思うでござる・・・。」


「・・・ふうん。
おい、・・・おい。・・・・オイ?・・・!!」


「えっ?ハイ!」





やばい。今さっきちょっと、額に手を乗せられた感激で、意識が何処かへと飛んでいた。
うわーうわー、どうしようコレ。今日一日で幸村と政宗に触られちゃったよ。額。
うわー・・・一生洗いたくないなー、額・・・。いや、汚くなるから洗うけど。

そんなことを思いつつ、またも何処かへと意識を逸らしていたからなのか。
政宗が怒ったように言葉を発した。





「・・・寝ろ!Go!」


「は?えっ?」


「そうでござる!伊達殿の、言う通りでござるな。
殿、眠ってくだされ。」


「・・・ちょっ・・!待っ・・・!」





なんだコレ。
二人から寝ろ寝ろコールですか。そうなんですか。
っていうか、そんな、寝ろって・・・!微熱だよ!薬飲んで、寝なくてもまあ、安静にしてたら治るよ!きっと。

心の中で、そんなことを考えながら、
「だ、大丈夫だよー、うん。」と言葉を返した。

そしたら、幸村が「何を言っております!」と怒ったように言葉を発した。





「風邪は、万病の元と言いましょうぞ!?
侮っていては、いけないでござるよー!!」


「AH,・・・幸村の言う通り、だぜ?
・・何度も言うがよ、寝ろ。」





二人の声には、少しの心配が含まれている・・・ような気がした。
多分。きっと。・・・うん。





「・・・じゃあ、眠る、よ・・・うん。寝てくる。」





二人に聞こえるような声量で言う。
すると二人は笑顔を浮かべさせ、「それが一番でござるよっ!」、「Good!」と、
二人して交互に口を開いて、言った。



風邪薬を飲み、重い足を歩かせて、自分が今さっきまで寝ていた布団の中にもぐりこみ、
もう一度、まぶたを閉じた。




風邪は、好きじゃない。
頭が痛くなるし、息もしにくくなるし、身体にはダルさがあるし。
ご飯は、あんまり食べれないし。味も全然わかんなくなるし。

人肌が恋しくなるし。



はあ、と溜息をついた。
なんでだろう、寂しいなあ。
部屋に一人きり、と言うこともあるんだろうけれども。


何だか妙に苦しくて、寝返りをうって、うって、うって。
それでも眠れなくて。眠気よやってこい!とか思うのだけれども。
なんていうか、一度、覚醒した頭を直ぐに寝かすのは、無理だと思います、ぞ・・・!!!



眠れなくて、目を、開けた。
最初に視界に入るのは、壁だろうなー、と思っていたけれど、
違っていた。

最初に視界に入ったのは幸村と、政宗の、姿。





「・・・は?」





思わず、変な声が出た。
あれ、、一人で部屋に入ったよね。
んで、布団にもぐりこんで、寝ようとした・・・はず。

なのに。
何故の視界に。
政宗と幸村の姿が見えるんですか。


あれ。アレレー。
ちょっと誰か教えてくれないかなー。

だって二人ともリビングにいると思ってた、のに。


どうしよう。
が一人悶々としているのを見られたのか。
寝返りを何度もうってるのを見られちゃったのか。
うわあ、もうお嫁に行けないよ!



そんなの切ない心の叫びを知ってか知らずか。
幸村と政宗が硬直しているに、優しげに声を掛けてきた。





殿、起こしてしまいましたか?すみませぬっ!
某、夜まで殿にお供させていただく所存っ!!」


「・・え?ごめ、意味がわからない・・・。」


「AH,・・なんというか。
風邪の時は・・・、その、寂しいだろうが。普通。
だから・・・、くそっ!寝るまで傍に居てやるっつーことだ!You see!?」


「えっ、・・・え?」


「寝るまで、じゃ無いでござるよー。
眠った後も!傍におりますゆえ、安心して眠ってくだされ、殿!」





そういって、幸村は笑顔を顔に浮かべた。
政宗は何か恥ずかしいのか、顔をそむけている。

どうしよう。
風邪のせいなのか、違うのか、視界が微妙に濁った。

風邪の時は。
人肌が凄い、恋しくなる。
なんでだろう。わからないけれども。



まぶたを閉じて、何だか泣きそうになった顔を幸村達からそむけて、
「ありがとう・・・。」と呟くようにして、言った。

あああもうっ!こんな、こんな乙女乙女するなんてッ!考えもしなかったっちゅーに!
くうう、後で。絶対に言おう。再度、ちゃんとはっきりと、ありがとう、って。


そんな考えを心の中で秘めつつ、
まぶたを再度、閉じた。


今さっきまで、眠れなくて苛立っていたのが嘘みたいに。
眠気がものすごい勢いで襲ってきた。・・・って、ちょっと待て!自分!!
もし、いびきとか歯軋りとかしたらどうする!もう二人と顔を会わせられない!


自分の考えが本当にありえそうで、おちおち眠れない!と思っていたけれど、
やっぱり睡魔には、勝てません、でした・・・・!!!

あー、もうどうしよう・・・・寝言とか言ってないと良いんだけど、な・・・。
ってか言ってても全てスルーしてください。お願いです、頼みます!もう本当マジ一生のお願いです。








完全に眠りに入る前。
優しく頭を誰かが撫でてくれた。


誰だろう、と思った頃には、は眠りについていた。




そっと軽く置かれた手。
優しく、温かく、頭を撫でてくれた手。


酷く安心する、優しい手だった。



NEXT


あとがき。


最後の部分誰が撫でたかはまあ皆さんの好きな方で。
幸村でも、政宗でも、どちらとも取れるようにしました、が。どうでしょうか。

ええと、雑談をいたしますと。
風邪。嫌いです。
頭痛いし、ダルイし、ご飯も喉を通らないわ、味もしないわで、
もう・・・真面目に無理です・・・・。風邪さん来ないで下され。(何)

それではでは。

2006.5.5