気づいてなかっただけなのかも、知れない。
そう、彼女が居るだけで、得られた安心感を。


安心できる場所は、彼女の傍、と言う事を。





Act20.気づかなかったモノ





「っ、はあ…」


「なーに、ため息ついてんですか、旦那。」


「佐助……」


「この頃、ずっとため息をついてばっかりじゃ無いですか?旦那。
 何か有ったんですか?」


「…なんでも無いでござる。有っても、佐助には…、関係無いでござるよ。」


「…真田の旦那…?」





佐助が、木からひょこ、っと顔を出して、某の顔色を探る。
…何がしたいのだろうか。

又、はあ、と小さなため息を付くと、佐助は木から降りて、某の横に来た。
その顔は、少し困惑気味で。





「……某は…、きっと間違っては無いと思うでござるけど。」


「…?旦那?」


「あー、もう。モヤモヤするでござるッ!
 佐助!勝負だ!!」


「へ?ちょっ、さ、真田の旦那ッ!?
 俺、武器、持ってないしっ」


「問答無用!
 佐助、行くぞッ!」


「ど、何処に槍隠して…ッ!?って、ちょっ、だ、旦那ァァァ!!」





ウツな気分を吹き飛ばすために、槍を構え、佐助に勝負を挑む。
そうでもしないと、この気分は晴れないような気がした。
そう、少しでも、何かに熱中をし、彼女の事を忘れようと。


あの場所を後にし。此処へと、帰ってきた時、佐助やお館さまが「旦那ぁっ!何処にいってたんだよッ!」や
「幸村ァァァ!!無事でよかったぞ!」と、口々に某の身を案じるような言葉を発してくれた。

けれど、何かが足りない。
そう、殿が。

殿の「おかえり」や「ただいま」。
其れが聞きたくて、仕方なかった。

某の服を見て、佐助やお館様は凄く驚いていた。
洋服。それがこの服の名前らしい。知らなかった。


直ぐ、脱ぐように命じられたが、脱げなかった。
脱ぐのが、嫌だった。

某は、一体何の未練を持っているのだろうか。
殿に、「来ないでほしい」と、思ったのは某なのに。





「……某は、酷く、愚かだ…」


「へ?旦那、何か言った?」


「何でも無いでござる」


「ふーん。」





ぽつり、と零した言葉は、しっかりと佐助に聞こえていたようで。
怪訝そうな顔で、聞き返された

キン、と刃の重なり合う音が響く中、
何故か殿を思い出していた。












「っ、あー、くっそ。」


「?どうしたんですか、殿」


「良い、気にすんな。」


「…はあ。」





縁側に一人座り、庭を眺める。
整備されてある庭は、綺麗だ。いつもなら、憤りを感じていても、此処を見れば、
少しは楽になれる筈…だった。





「Goddamn!くそっ!
 何で、こんなに…ッ!」





何で、こんなに。
ムカツク、のだろうか。

いらいら、とする気分は止まらない。
寧ろ、どんどん大きくなっていくような気がする。

数日間しか、一緒に過ごしてないんだぞ!?
何で、こんなにも気になるんだ。

自分に苛々、にも苛々。
何で、何であんな悲しそうな顔を見せるのだろうか。

笑顔で見送ってくれていたならば、俺が、こんな気持ちになる事も、無かったのに。






「くそっ…。
 何時か、何時か又会えたら…!」





からかって、怒って、それから、何をするのだろうか。
それから…。





「…何、会える確証もねぇのに、考えてんだ。」





そうだ。会えるかは、分からない。全く。
けれど、なら…、何だか又会えるような、そんな気がして。

きっと、又考えてしまうのだろう。


“何時か”、“きっと”。
又、会えるような気がするから。
















「って、あー、もうっ。一日中泣いちゃったよ…。
 くそっ、政宗達のセイだ…」





そういって、鏡の自分とにらめっこする。
うう、目の周りがとても、赤い。何かもう、たとえようが無いぐらい、凄い事になっている。
はれてる。オイオイ、有り得ないってば!



くっそう、絶対に行く。行ってやる。
政宗達の世界に。

でも、異世界トリップなんて、そう簡単に起こらないだろうし。っていうか起こる起こらないとか、
そんな簡単なものではないと思うのだけれど。

ああ、もう!どうやって、言ったら良いんだろうか。わからない。本当に。


頭を抱え、悩んでいても、良い案は浮かばない。
戦国BASARAをやって、「異世界トリップしたい!」と言っても、行けない。

どうやったら、会えるのだろうか。政宗達に。
会いたい、会いたいよ。凄く。

ねえ、どうすれば会えるの。


又、涙が溢れてくる。
うああ、もう泣きたくないのに。
必死に踏ん張って、涙を止めた。






少し、頭を使って考える。
そういえば、政宗達の鎧はまだ有った筈。
最初来て、風呂に入る時、外したまんまだったような。

何処に置いたっけ?

周りを見渡し、何処に置いたか記憶を探る。
…何処だっけ?わからない。

焦れば焦るほど、時間が過ぎていく様な気がする。
焦るな、考えなければ!




考えて、考えて、ぱっ、と頭に閃いたのが。
……の部屋だった。

あ、そーじゃん!
ってば、風呂入る時、政宗達から鎧頂いて、自分の部屋に置いておいたんだ!
あはは、あはは………バカか。は。

ともあれ、自分の部屋に行って、鎧があるかを確かめる。

早めに気づいてよかった。本当に良かった。

鎧が、薄くなっていた。
これは、政宗達が消えるときに起こったのと、同じ現象。





「…っ、あ、っ…。
 も、行きたい、行きたいよ!」





そういって、鎧に抱きついた。
人目から見れば、変な格好かも知れない。
けれど、はとても必死だったのだ。





「お願い、連れて行ってっ。
 お願い、だから……!行きたい、よ…。政宗や、幸村が…、居るトコロに!」





必死で、頼み込む。
お願い、お願いだから─…ッ!

鎧が、すう、っと消える。
…けれど、は消えない。



…やっぱり、無理、だったのかな。
もう、会えないのかな。

凄く、悲しくて。
目から、又涙が出てきた。
…うう、弱いなあ。

そう思って、手で目に溜まった涙を拭う。




…って、え?

て、テ、手、が!
薄い!…違う、透けている…ッ!?

え、う、嘘…!
もしかして、行けるのだろうか。政宗達の所に。

何だか凄く嬉しくて。
出ていた涙を、もう一度だけ、拭った。





「…っ、や、やった!!
 嬉しい、本当に嬉しいよ!」





思わず、声に出して、嬉しさを表現した。
ああ、もう!本当に嬉しい!
それだけが頭を支配する。

自分の身体が透けていくのが、嬉しい、と感じた。

けれど。少し、思った。



家族は、どうする?

……そうだよ。家族。家族に、何て言えば良いのだろう。
寧ろ、もしかしたら、もう会えないのかも知れない。

馬鹿か、は。一人でうかれて。笑って。
家族の事を、考えもしなかった。

メモを、残そうか。
だとしたら、何て書く?





「…旅に出ます?
 それじゃあ不良少女、っていうか何か家出みたいじゃん!
 じゃあ…、んー?ちょっと遊びに行ってきます!
 1年帰って来なかったら、ちょっとじゃ無いよね。」





思考錯誤した上で、文章を書き、リビングに置いておいた。
家族の目につくことを、信じて。


もう、足は消えている。見えない。
手も、うっすら、と、だけれど。消えている。





「…行ってきます。」





そう言って、瞬きをすると、何か、浮遊感が襲ってきた。
浮遊感が、無くなった後、目を恐る恐る開けて見た。


目に、入ってきた光景。
その光景を見て、唖然としてしまい、口から出たのは、間抜けな言葉。





「─…え?」





輝くような、白い浜。
透き通る様な、青い海。





「あ、え?こ、此処…ハ何処デースカー……。」


「俺が聞きてぇな、お前は誰だ?」


「…へ?」





突然、声が聞こえたと思ったら。
首筋に当てられる、冷たくてとがったモノ……。
刃だ。


どうしよう、お母さん。
、殺されるかも知れない。




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書き直しに書き直しを重ねたのです、が!
んー?どうなの?

政宗とか。英語苦手なのですが、私。
幸村。このごろ幸村大好きです。ゲフン。だから長いんです。(え)冗談です。

最後に出てきた人物は…、まあ勘の良い人には、分かります…よね?
わ、分かっていただきたいです……!


な、何かシリアス続きは駄目かなっ、と思いまして。
無理やりトリップさせ…(ゲフンゴフン)
ツッコミ所、満載!キャー。

…も、もしかしたら、又書き直すかも…知れません。ゲフン。

それではでは。



2005.9.11

2006.5.24 加筆修正。