日の出を見て。
綺麗だと、感心した。

海が。ヒカリを受け、輝いている。
四国ならではの、場所だと。

そう、思った。





Act.24 海辺の約束





「─くっそ…、元就に叩かれた場所が…、まだ痛ェ…」


「…あんなぐらいで、あざを作るなど…。
 弱いな。」


「…おまっ…!
 絶対、何時か仕返ししてやるからな…!」


「…我が策に勝てるかな。無理であろう。
 お前のその、脳では、な!」


「……。お前、昔は可愛かったのに……」





日の出を見終わった後、三人で少し浜辺を歩いていた。
まあ、何で?って言ったら…、元親が「浜辺いこーぜ!浜辺!!」とか言って。
連れてこられた訳なんですが。

…海の水が、とても綺麗で。
透き通っていて。
あー、何か泳ぎたい…!水着が欲しいよ、水着!!

そんな事を思いつつ、元親の方を見てみると、
元親はため息を吐きながら、遠い目をし「昔は…昔は」と言っていた。





「…ねえ、元親さん。
 元就さんの、昔の話してよ!」





が唐突にそういうと、元親は一瞬驚いたような顔をして、
その後、嬉しそうに笑い「おう!良いぜ!」と言い、話し始めた。





「コイツなー、昔の名前は、松寿丸って言ってな。
 すっげ可愛かった。本当に。毒舌も無くてな…!
 しかも鶏を飼ってたんだぜー!」


「鶏?何て名前?元就さん。」


「……名前は、無い。
 だが、食用に飼っていたわけでは無くてな…。
 我の、小さい頃の友達だった。のに…!」


「……ああ、確か狐に食われたんだっけ?」


「そう!
 築山に住む狐に…!
 狐の住処の近くに落ちていた、我の飼っていた鶏の羽…!!
 何度思い出しても、はらわたが煮えくり返る。本当に、許せぬ!」





元就は、怒ったように、そう言葉を発した。
…に、鶏が…友達?…まあ、小さい頃は確か一人だったんだよね!
お母さんも若い頃…確か5歳の頃、死んだらしいし。
お父さんも。酒害のせいで死んじゃったらしいし…。

一人で、暮らしてきたのだろうに。きっと。
お母さんも、お父さんも、居ない。いるのは家臣達などだけ。
親の温もりは、大切だからなあ……。

そう考えていると、元親が苦笑しながら言葉を続けた。





「でもよォ、俺思うんだが。
 何も…山を焼く事、無かったんじゃねぇか?」


「…我の友を殺したのだぞ!?しかも、食べた!
 許せぬ…ッ!我の、我の…!!」


「……ま、まあ…その、何だ…
 その殺した狐も、お前が仕返ししたんだろ?
 それで、もう良いじゃねぇか。な。」


「死んだかどうか分からぬのにか。」


「…は?
 何で確かめなかったんだよ。」


「…我は狐の後など確かめておらぬ。
 第一、狐の居る場所になど、もう入りたくも無い。
 あの狐が、死んだか、逃げ出したかなど、知らぬ。」


「…あ、そう。そうなのか…。
 …お前、焼いた山に謝っとけよ…」


「どうやって、謝れと言うのだ?」


「……」





元親が、少し呆れたような顔で元就を見る。
元就はそんな事全く気にせずに、「それにしても」と言葉を続けた。





「…は…、我の話を聞いていて、面白いのか?」


「…へ?」


「我の話は、つまらないであろう。」


「ううん、そんな事無いよ?元就さんの話、好き。
 元就さんの意外な一面がわかるし。面白いよ!」


「…そうか。なら、良い…。」





そう言って、元就は少し安心したように少し微笑んだ。
…え、ごめん。ちょっ、何コレーーー!!?
新手の腐女子サービスか、元就!!

そんな事を思いつつ、悶えそうになるのを必死で押さえ、浜辺を歩いていくと。
目に、大きな貝殻が映った。
巻貝、だ。

確か、耳に当てたら音がするんだよね。

巻貝の傍に行き、付いていた砂をはたき、耳に当ててみた。
少し、そう。静かな所だからこそか、知れないけれど。
ザア、と海の波の音がする。

本当の波の音とは、ちょっと違ったような音。

ああ、何か癒される・・・ッ!
本当の波の音も良いけれど、こういうのも良いかも知れない。
そう思い、少し嬉しく思っていると、元親が「…何してんだ?」と、呆れたような顔で聞いてきた。





「…んー、波の音、聞いてるんだよ。」


「…まあ、波の音は誰にでも聞こえるよな。此処ではよ。
 だから、何で巻貝を耳に当ててるか、って事を聞いてるんだよ」


「巻貝の中からも、波の音、聞こえるんだよ?」


「…巻貝、の中から…?」





元親が不思議そうな顔をして、の傍に寄ってきた。
元就も、又。少し首をかしげながら傍に寄ってくる。
は巻貝を元親に手渡し、「耳に当ててみて!」と言った。

元親はまだ少し不思議そうな顔をしながらも、巻貝を耳に当て、
少し驚いたように「…すげー…」ともらした。





「…凄いな、本当に…。
 本物の波の音とは、少し違うような。そんな感じ?
 元就も、聞くか?」


「…ああ、我も聞く。」





元親が元就に巻貝を手渡す。
元就は、巻貝を耳に当て、元親同様、驚いた顔をした。
その後、巻貝を耳から外し、に手渡した。





「…凄いな…。
 巻貝、に。こんな音があるなんて。知らなかった。」


「そうだね。も言われるまで、知らなかった。
 まあ、本物の海の音には勝てないかも、だけれど。」


「…なあ。有難うな、。」


「…へ?なんでですか。」


「…俺、感謝したい。
 巻貝の音にも。其れを教えてくれたにも。」


「…ハイ?なんで。」


「…知らない事、教えてくれただろ?だからだ。
 ありがと、な!」


「我も礼を言おう。有難う。」





そういって、二人とも、綺麗に笑った。
…え、何で。こんな風に二人に感謝されているかが分からない。
何で感謝されてるんだ、

知らない事を教えたぐらいで感謝、って!一体!!?
そんな思いを巡らせていた。















聞いていて、思い出した。
少しだけ、悲しくなった。

波の音、静かな、音。
海に面している所に住んでいるにも関わらず、このごろ戦乱に明け暮れて、
波の音を耳障り、と思っていてしまっていた。

だが。

巻貝で聞いた波の音、は切なく、胸に響くような音で。
少しだけ、悲しくなった。





「…はーあ。まあ、有難うな。本当に。」


「…あ、いや。有難う、って言われまくると恥ずかしいのですが。」


「お前に、何か慰められてんなー…俺。」


「…え?」


「…なんでもない。」





そう、慰められていると、思う。
元就も、良いやつだけれど、は又違った感じの良い人。
俺の事、心配してくれたり、して。

会ったばっかりなのに。
俺の話聞いて、真剣に考えたりして。

良い、人。
優しい、ヤツ。





「…なあ、
 俺達と……」


「んー?」


「“友達”、になってくれねぇか?」


「…え!?と、っ友達に?うん!良いよ!なるなる!!」


「ちょっと、待てっ!
 わ、我も友達になって良いのか…ッ?!」


「うん。友達になろう!
 やった、元就さんと元親さんと友達になれちゃったよ!よっしゃ!」





そういって、は何だか嬉しそうに拳を作り、意気込んでいた。
オイオイ、そんくらいで、こんなに嬉しがるなんて。めでたいヤツ。
そう思い、少し苦笑しながら、言葉を続けた。





…、俺の事は元親で良い。
 元就のヤツも、元就で良いと思うぜ。」


「え、良いの。呼び捨てですか…ッ!」


「…なんだよ、お前。すげぇ嬉しそうだな。」


「え、だってスッゴク嬉しいよ!
 元親と元就を呼び捨てに出来る、って…ッ!
ああ、もう、駄目だ!!!


「…おま…どうしたんだよ。大丈夫か。本当に。」





顔を赤くして「ああ、もう至福ゥゥ!!」と嬉しそうに言葉をつむいでいるを見ると、
何だかこっちまで嬉しくなってくる。
元就も何だか嬉しがっている(というよりは面白がっている)ように見える。

友達。大切な、人。
少しの違いはあっても、ほとんど同じ意味だろう。





「……誰かが攻めてきた時には、俺が守ってやるよ。」


「…そうだな、我も守る。を。
 …命をかけても、な。」


「…え。な、何て言いました?リピートアフターミー!」


「…りぴーと…?
 まあ、もう一度言えって事だよな?
 だから、守ってやるよ。俺が、を。」


「我も、だ。を、守る。
 …命を、かけて、な。」





俺と元就が少し笑いながらそういうと、が顔を真っ赤にして「ちょっ、す、ストップ!タンマァァァ!!」と言い、
顔を両手で隠し、俺たちの方向から顔を背けた。
…なんか、変な事言ったのだろうか。俺。
覚えが無い。





「…?」


「うあああッ、ちょっとこっち来ないで!お願いします!!」


「どうしたのだ、?」


「…くう…
 今さっきの言葉…が、聞いてて恥ずかしかった……んだよね」


「…さっき、って…
 ああ、守ってやる、か?」


「…ハイ…」


「…あんぐらいで赤くなるなんて、お前もまだ子供だな。子供。」


「…言っておきますが、あんな事言われたら誰でも赤くなるっつぅの!くっそう!」





尚も後ろを向き続ける、
耳まで赤くなって。…そんなに、恥ずかしい事だったのか。あの言葉は。
ただ、守る、と言っただけなのに。
苦笑していると、元就が言葉を発した。





「…だが、守る、と言う事は本当の事。
 我にとって、はもう大切な存在。
 誰かが攻めてきたときは、絶対に守る。」


「……あ、ありが、とう……」





が、小さな声で呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
元就も聞き逃さなかったらしく。少し嬉しそうに笑っていた。
…あんなに笑う元就、見たことが無い。

そんな事を思いつつ、の方向に進み、顔を隠している手を取った。
手を取った瞬間、が「なっ、ちょっ!!」と、驚いている様子だったけれど、気にしない。

の目を見て、言葉を発した。





「な、城に、帰ろうぜ。
 そろそろ、朝飯の時間だろ。きっと。
 朝飯食って、時間がたったら、又。朱点とか、見せたりするからよ。」


「…え、あ、うん…。戻ろう。うん。
 それが良い。」





そういって、は少し動揺しながらも、歩き出した。
俺と繋いでいる手を離さずに。

振りほどかれる、と思っていたので少し驚いた。
けれど、何だか。─嬉しかった。
元就も、の俺と繋いでいないほうの手を取り、歩き出した。



城は、直ぐ其処。



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ったはー!!(何)
あーやばいー次の話がシリアスーだー!
うっわすっごい楽しみでたまりません!
わーわーわーどうする自分!!!
それにしても、気付きました。 私は、キャラと手を繋がせるのが大好き、らしいです。
出すぎだろ!手つなぎシーン!

……。もう、良いよ……。(何が)
もう、自分の欲求に向かって突っ走るよ、絶対。
っていうか題名がヤヴァイ。何コレ。少女漫画か!
う、海辺の、や…言えない。無理。どもる。

というような感じのなにやらテンションが高い蒼でしたー。

2006.5.28 大幅修正。