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空を、見上げて。 水面に写る月を眺める。 Act28.心の痛み 只今、船の甲板に出て、夜風に当たっております。 …まあ何でこんな事になったかと言うと。 政宗に四国を制覇され。 政宗が奥州に来い!と言い、 と元親と元就は只今、奥州に行く為、政宗の船に乗っております。 …どうなの。 いや、さ。 普通、とか元親達を領地占領した後、直ぐに奥州に帰るぞ!などと言って、 船に乗せるって…有り得なくありませんか。どうですか。 そんな事を思いつつ、海を眺める。 海の水面には、空に浮かぶ大きな月が写っていた。 「…」 「…?」 不意に声がして、振り向いた。 振り向いた先に居たのは、元親。 元親は「何してんだ?」と言いながら、の横に近づき、と同様海を眺めた。 「いや、海に月が映って綺麗だなあ、と」 「…ああ、そう、だな…」 「…」 「…」 暫く、二人で海を眺める。 うーん…なんか綺麗、だと思う。 少し、心が痛くなる出来事が立て続けに起こったから。 この様に、何でも無い光景でも、見ていて安らぐような気持ちになる。 だけれど。何時もの様な、風景が、何だか。 …痛い。 枯れた、と思っていた涙が、又頬を伝う。 くっそ、何でこんなにも涙もろくなったんだ、自分! そんな事を思いながら、目をゴシゴシ擦っていると、不意に頭に手が乗った。 元親の、手だ。 その手は、何だか慰めてくれるかの様に、の頭を優しく撫でてくれた。 「……元親?」 「…な、何だよッ」 「…えっと、手…」 「…お前、が、辛そうにしてたから!何だよ、悪いか! もう、良い!」 「えっ、ちょっ!」 元親が月の微かな光でも分かるくらいに頬を赤くして、 撫でていた手を止め、の頭から手を離した。 ああ、何て優しいんだろうか。元親は!! もう、嫌!可愛い!癒される!! 人の痛みを感じ取り、人に優しく出来る人だからこそ、 家臣の死を痛く思い、“蘇る”と、信じたのだろう。 ああ、もう。何でだけが泣く。 本当に泣きたいのは、他の人。 …そう、きっと、政宗だって。泣きたいのでは、無いだろうか。 唐突に、政宗が一瞬見せた、泣きそうな顔が頭に浮かんだ。 は、きっと。政宗に酷い事をしたんだろうな…。 は、馬鹿だ。本当に。救いようも無いくらい。 人の痛みを感じ取れない。 自分を守ることだけで、必死だった。 あー、もう。馬鹿、馬鹿、馬鹿だ!! そんな事を思っていると、又、無償に悲しくなってきて。 まだ顔を赤くしている元親の手を取り、握った。 元親は、の方を見て、少し驚いたような顔を見せたが、 何も言わずに、もう一方の手で頭をポンポン、と優しく叩いてくれた。 その優しさが嬉しくて、は又泣いてしまった。 「……殿、どうしたんですか?」 甲板に出て、夜風に当たっていると、不意に、そんな声が聞こえてきた。 は?誰だよ、と思いつつ、声がした方向を見ると、小十郎が心配そうな顔をして、立っていた。 俺は少し苦笑しながら「お前こそ、どうしたんだよ?」と聞いた。 「…いえ、殿が、何だか、元気が無いように思いまして。」 「…俺が、元気が、無い? ある。凄くある。だから気にすんな。寝ろ。」 「と、殿…?」 「寝ろ、寝るんだ。お前は眠る! 早く寝ないと、永久的な眠りにつかせるぞ。」 「…殿…。 ……寝ますけど。 …無理は、しないで下さいね。」 「…Ha!俺を誰と心得てやがる、あの伊達政宗だぜ? 無理なんか、しねぇよ。要らない心配をするな。」 「…なんでも、心に押し込めてしまうのは、殿の悪い癖ですからね。 少し、気になったんですよ。まあ、何も無いなら、良いですけど。」 そういって、小十郎は少し苦笑をし、甲板を降りていった。 …無理、無理?そんな事、俺がする訳…無い。 そう、しない。絶対に。というか、していない。 「あいつ、心配性だからな…」 一瞬、小十郎のオドオドしたような表情が頭に浮かび、 少し苦笑していたが、次の瞬間頭に浮かんだ表情に、悲しくなった。 アイツの、……の、恐怖を浮かべた顔。 させたくなかった。見たくなかった。そんな顔。 笑っていて欲しかったんだ。俺の傍で。 なのに、何故、あんな…人を殺そうとしている場面で、出会ってしまったのだろう。 俺はもう、一生、の笑顔を見れなくなるんじゃないだろうか。 そう思うと、胸に痛みが走った。 痛い、痛い。鋭い刃で差されたような痛み。 「…く…、な、んで……」 この痛み、何なんだ。 ずきずき、ずきずき、例えるとしたらその様な感じの痛み。 心を、えぐられるような。 痛みは直ぐにひいた。 けれど、俺はその場に少し座り込んで、甲板の床を思い切り叩いた。 「…痛い」 とっくに痛みは引いたのに、呪文のようにその言葉を繰り返した。 自分が、痛い。 恐怖で歪めさせたくなかったのに、俺は何をしているんだろう。 右目が、痛い。 恐怖に歪んだ顔で昔の事を思い出した。 俺は、 に 何を 望んで いたんだ ? 前みたいに、優しくして欲しかった? 前みたいに、嬉しそうな声で“政宗さん!”と、呼んで欲しかったのか。 探してた、ずっと探していたんだ。 こんな結末、嫌に決まってるだろ。 「……馬鹿、だな」 馬鹿、だ。本当に。 嫌われることを、拒絶される事を、予想していなかった。 予想、したくなかった。 そんな事、ありえないと思っていたから。 血で、服が汚れて、心も汚れて、手も、何もかもが汚れても。 だけは、受け止めてくれると…、思っていたのだろう。 馬鹿か。そんな事出来る奴、この世の中どれだけ探しても居ないだろう。きっと。 汚れた手で何を触ることが出来る。 汚れた手で触ったら、触れた物は、汚れる。 座っていた身体を起こし、立ち上がる。 立ち上がり、目に映ったのは、海に浮かんでいるように見える、大きな月。 大きな月が、水面に大きく映っている。 なんて月は非情なんだろう。死にたい程に悲しんで居るときも、 いつもと変わらない光を、与える。 光が、ほしくないときだって、あるのに。 軽く舌打ちをして、呟く。 「…くそ…ッ」 半ば怒りながら、そんな言葉を発するが、直ぐに波が船に打ち寄せる音で消される。 何で、こんなにもむかつくんだ。 何で、こんなにも悲しいんだ? 問いかけても、誰も答えてはくれない。 それはそうだろう。そんな事、わかっている。 はあ、と小さなため息が漏れる。 なあ、何で。俺の気持ちはに伝わらないのだろうか。 傍に居て欲しかった、だけ。 又もう一度、話しがしたかっただけなのに。 向けられた拒絶の目に、悲しくなった。自分の事を心底嫌になった。 「…俺は、馬鹿か。 …今頃、考えたって。…どうにもなんねぇのに」 自分の考えに少し呆れながらも、自分の部屋に戻ろうと、甲板を降りる扉の近くへ歩いていった。 ふと、横を見ると。 今日、制覇した四国に居た奴…長曾我部と、が。立っていた。 俺と同じように、海を見ているのだろうか? 少し気になり、その場に立ち止まる。 直ぐ部屋に帰れば良いものを。 気になってしまったら、止められない。 何を、しているのだろうか。 そう思い、じっと見ていると、の頭に手が置かれた。 長曾我部の手だ。 その手は、優しく、の頭を撫でて。 何だか、その光景を見ていると、又胸が痛んだ。 ずきずき、ずきずき、と。 と長曾我部の野郎が手を握ったり、頭を撫でたりすると、どんどん痛くなってくる。 なあ、もう、俺は、の隣に居れないのか。 手を繋いだり、喋ったり。そんな簡単な事も、不可能な事に思えてくる。 長曾我部の奴が、凄く憎く思えた。 頭の中で、誰かの声が聞こえる。 “もう、の隣に居るべき存在は、お前ではない。” “もう、誰もお前を必要としていない。” 頭の中で響くその声は、酷く心に刺さる言葉で。 居た堪れなくなって、その場をさった。 階段を下り、船内の自分の部屋へと小走りに戻る。 部屋を開けると同時に、古い扉がギイ、と軋む。 まるで、俺はこの扉みたいだと、思った。 軋んで、悲痛な音をたて、何時か壊れてしまう、扉。 →NEXT −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 何、政宗、どうしたんだ・・・!(お前がどうしたんだ) や、ね!何かもう…ね・・・。うん……。 政宗、思いつめております。まあ、普通に人に拒絶されたら考えたりします(?)もんね…。 っていうか。どうなの小十郎。 ゲームの小十郎は性格わかんないので、漫画版の小十郎を思い浮かべつつ見てくだされ。 というか、アレですね!伊達が乙女!何胸キュンキュンさせてるんだろう。 (一度星へ帰れ、自分。) …少女漫画(妹が買ってきたヤツ)ばっか読んでるからこんなコトになるのだろうか。 ……少女漫画は、面白いですもんね。…ね! それではでは。 2006.6.7 大幅修正 |