慶次達と共に、城へと戻った。城につく頃には、もう陽が沈み、空には星が瞬いていた。
時間が過ぎるのって、どうして、こんなにも早いのだろう。



Act42.相部屋




政宗を出迎えるように、城門の近くで待っていた小十郎は、
達と共に歩いている、慶次を見て驚いたような表情を浮かべていた。

まあ、驚くよなあ…普通。『なんだよコイツ!』みたいな、そんな気持ちを抱くだろう。
政宗が小十郎に向かって、少し怒ったような声で言葉を発した。





「おい!小十郎!」


「…はい、なんでしょうか」


「客間!一つ用意しとけ。後、…夕飯、もう1人分追加」


「…は?何故─…」


「前田が泊まる」


「…前田…というのは、あそこに居る?」





小十郎が、訝しむような目で慶次をみやって、
威嚇するかのような声を出した。





「お前は……。…政宗様に手を出すなよ」





どうしよう、それって聞きようによっては何か…。いや、小十郎は政宗の事を心配して言っているだけだよ、うん。
きっと、手を出すなって意味は…、傷つけるな、みたいなそんな感じの意味なのだろう。うん。
少しして、慶次が苦笑しながら、口を開いた。





「手ぇなんか出さないって!世話になるんだし」


「……」


「なになに?俺って、そんなに喧嘩好きに見える?」


「…ああ」


「うわっ、酷いこと、言うねえ」





けらけらと、笑いながら慶次はそう言った。
小十郎が一瞬、その言葉に対し、敵意をあらわにしたのは、勘違いでは無い…と思う。

緊迫した雰囲気、というか一方的に小十郎が敵視しているだけなんだろうと思うけど、
きまずい雰囲気が流れている中、は別の事を考えていた。



なんていうか小十郎はアレか、政宗が大好きなのか。尊敬の念で!
昔から傍に居たから政宗を守ってあげなくては、とか。思ってたらすごい、なんというか良い。凄く良い。
それにしても、元就と元親も仲良いよなあ。そういえば昔からの知り合いって言ってたっけ。お友達だ。
二人共、アイツより俺の事を知ってる人なんかいねぇぜ!…なーんて、そんな感じか。なんて素敵!



うんうん、と頭を頷かせていると、慶次が表情を驚きに変えて、に近づいてきた。
え?何?なんか言った?

焦って、後ろへ退くの気持ちを知らずに、慶次は「良いのか?」と、言ってきた。






「…は?はい?」


「じゃあ、この娘もこう言ってるし。俺、相部屋で良いよ」


「………は?」





あいべや。相、部屋?なんじゃそりゃ。誰と誰が相部屋?
幸村が、なにやら泣きそうな声でに向かって、思いがけない言葉を発した。





殿、危ないでござるよ!慶次殿は軟派な者と聞いていて…」


「は?」


「そうだ、。お前、大丈夫か?」


「は、どういう意味?」


「どういう意味など…、、お主が前田の甥と相部屋になるのだぞ?
 危ないに決まっておる。やめておけ」


「は?が、慶次さんと、相部屋…?」





聞いた瞬間、血の気が引くような感じがした。
いや、無理だよ。無理無理無理。会ったばかりなのに。
いや、会ったばかりとかそういうの関係無しで、無理だ。


というか、何時の間にそんな話に。


元就、幸村、元親から、驚いたような視線を向けられている。
止めたい…いや、けど…、慶次と一泊ですよ!
一緒の部屋ですよ。絶対に、こんな機会、もう一生無い……!!


こういう時、本当に迷う。
大丈夫…だよ。そんな、襲われるとか絶対に有り得ないし。
いや、年頃の女と男が同じ部屋で寝ること自体が大問題なのだろうけれど、
絶対に大丈夫だ、と言える。…うん、多分かもしれない…。


それにしても、相部屋…なんでだろうか。部屋が空いてないのかな。わからない。慶次が眠るための部屋が無いのか。
ああもう!妄想なんかしてるんじゃ無かった!ちゃんと話、聞いとけば良かった、といまさら後悔した。






「…ま、まあ大丈夫…だよね、うん。良いよ、相部屋で」


「なあっ!!?殿ォォォォ!!?駄目でござる!なんなら某が慶次殿と共に寝るでござるよー!」


、止めておけ。本当に!」


、止めろ!お前、危ないぞ。本当に!」


「Ah,…、大丈夫か?」


「…へ?何、皆して。大丈夫だよ!うん、きっと」





意気込んでそう言うと、四人が怪訝そうな表情をして、肩を落とした。
え、なんですか。アレか。が慶次を襲うとか思っているのか。しませんよ、そんなこと。

慶次が、に笑顔を向けてくる。





「じゃあ、そうだな…えっと…、名前はなんだっけ?」


「あ、名前ですか。って言います」


「そっか。俺は前田慶次。慶次って呼んでくれよ」


「あ、はい、よろしく、慶次さん」


「あーっと、仲良くしていこうぜ。な?
 それと、普通に喋ってくれても結構だから」


「あ、…うん、仲良くしようね」





が、そう返すと、慶次が手を差し伸べてきた。
多分、握手をしようとしているのだろう。からも手を差し伸べて、握る。

すると、慶次がとても嬉しそうな表情を浮かべた。

な、んだ このヒト……!!
え、なに、とてもフレンドリー!なんか癒される。

少し頬が緩んで、心が弾む。
政宗達は何故か不満そうな顔をしている。なんでだ。


はっ。もしかして、慶次総受けなのか……!!!
だああ、そんなっ、破廉恥な。いや、ちょっと自分の妄想よ、ストップしてくれ。


そんな事を考えていたら、慶次が「じゃあ、の部屋に招待してくれよっ」と、言葉を発する。






「あ、うん、の部屋は政宗さんの部屋の隣だよ。案内するね、ついてきて」


「げっ、アイツの隣…?」


「うん、そうだけれど。どうしたの?政宗さんとなんかあった?」


「いや、何もねぇけどさあ。
 なんか…音立てたら殺されそう」


「そっ、それは無いよ…たぶん。いや、政宗さん優しいし!うん!」


「そうかあ?なんか怖そうだろー?」


「聴こえてるぞ」





ひそひそと、話し合っていた筈なのに、政宗には、ばっちり聞こえていたらしい。
怒ったような雰囲気が感じ取られるのに、何故か顔には笑顔が浮かんでいる。怖いです。
凄く、かんなり怖いのですが!

政宗が達の近くに来る。
え?何にも言ってないよ!政宗!!むしろ良い事を言ったような気がするでも無いし!


額に衝動。痛みが後から来る。

チョップされた。





「ッ…痛いィーーー!えっ、ちょ、政宗さんよ、ちょとくらい手加減してくださいよ!」


「いってェーーー!!な、何すっ…!」


「Han!うるせえ!テメェら、こそこそと人の悪口を言いやがって!」


「えっ!?、悪口言ったの?いや、言ってないよ!寧ろ、政宗さんを讃えるような言葉をつらつらと…」


「言ってねぇだろうが!」


「俺だって何にも言ってないし!寧ろ、良い事言ったよな、なあ!?」


「怖いが良い事か?HA!お前の頭は年中お花畑かッ!」


「おはな、ばたけ?何いってんだ、アンタ。頭、大丈夫か?」


「……小十郎、アイツ叩きのめしても良いか」


「はっ。その際にはこの小十郎めも、助力させて頂きます」


「ごめん、突っ込ませていただく。
何、この血なまぐさい会話





慶次と政宗&小十郎が今にも戦いあいそうなのを、元就、元親、幸村に手伝ってもらって止めた。
いや、本当、一触即発の雰囲気だった。凄く怖かった。…本当…、もういくつ命があっても足りません。

慶次を部屋に案内した頃には、もう眠気が直ぐ傍まで寄ってきていた。





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この頃おさつスナックがマイブームです。関係ないですね。
少し…ほのぼのとしてきていたら良いのになあ。頑張ろう。
それにしても、もう夏休みが終わる。泣きたくなります。


2006.8.30