|
Act.5-2 お買い物に行きましょう 2 「……す、凄いっ! な、何で出来てるんでござるかー!?」 「えー、コンクリート…? とか?」 「こんくりいと、とは……ッ! 何とも凄そうな名前で御座るな!」 幸村は、キラキラと目を輝かせて、目の前の建物を見る。 ついたのだ。…デパート、っていうか、まあそんな感じの大きな建物に。 来る途中、何度も幸村が急に大声で喋りだしたり、政宗が車とか見て、「Coolだねェ」やら言っては立ち止まり、食い入るように、路を走る車を見てたりしたので、着いたのは家を出てから何時間も後。流石に疲れた。 建物に入る前からじゃ、こんなのでは身が持たない気がする。死にそう。 死んだら、家にある、の趣味で手に入れたものを全て棺おけに入れてもらおう…とか何とか思いつつ、 は「じゃあ、入ろうか」と、二人に声を掛けた。 「す、凄いでござるよ、殿ッ!」 「あ、うん。そうだよね。凄いよね」 「っと、今さっき入る時に勝手に開いたdoorはなんだ?」 「ああ、アレは自動ドアって言うんだよ。」 「自動ドア、か。中々イイじゃねェか。 あれを俺の城にも取り入れてぇな…」 無理です。政宗さん。 心の中でツッコミを入れつつ、苦笑いを浮かべた。 そんなことを思っていると、幸村が「おおっ!!」と、なにやら少し大きな声を出した。 「殿、殿っ、あれは、あの奇妙なモノは…!!?」 幸村が、の腕を引っ張り、何処かを指差す。 指差した方向には、風船くばりをしている熊が立っていた。……要するに着ぐるみを着ている人が居たのだ。 ホンモノの熊が居たら困る。 その、熊が手にもっている風船に、幸村はなにやら興味津々な様子だった。 「あの、ふよふよ浮いているものは、何でござろうかっ」 「ああ、風船って言うんだけど…。欲しいの?」 「ほ、欲しいで御座る…!!」 が訊くと、幸村は瞳を又もや輝かせて、そう答えた。 どうしよう……。欲しがってるのだから、貰って来るねきだよね。うん。 恥ずかしいけれど……。欲しがっているのだし、一つぐらいなら大丈夫だろう。 そう思って、「じゃあ、もらってくるよ」と言うと、政宗が「俺も欲しい」と言ってきた。 二つ、二つをにもらえと言うのか。無理です恥ずかしいです。が、「二つくださーい」なんて言えるわけが無いだろう! 非常識過ぎる。 そんなことを思って、「一つだけ、でいい? その、二つもらってくるのは流石に恥ずかしいです、すみません……」と言うと、二人は不服そうだったが、「わかったでござるよ」、「OK」と答えてくれた。 助かった。 は、そのクマの着ぐるみを着た人の所へ行き、一つだけ風船をもらった。 微妙に恥ずかしかった。もらってる子は全員四、五歳ぐらいの小さな子ばかりだったから。 もらった風船を、二人に差し出す。といっても、一つしかないので、もしかしたら風船をめぐって喧嘩になるやも! と思っていたのだけれど、そのようなことは起こらなかった。 というか、政宗が「幸村、持っててもいいぜ」と言い、其れに対して幸村が「かたじけないっ」と言って、片方の手に風船を持って。何も無かった。いや、喧嘩とかされたら困るから、助かったんだけどね。 頭の片隅で、そう考えていたら、幸村がの方を向いて笑顔を浮かべ、「殿、有難うでござる!」と、言葉を弾ませてそう言った。 ……うああああああ可愛いなあ! 何コレ。悶死するぞ。真面目に。 なにやら、顔が赤くなるのを感じつつ、「どういたしまして!」と返した。 「……じゃ、服買いに行こうか!服!」 「Ah,そうだな」 「そうでござるねっ!」 幸村は風船を片手に、の左横を歩いて、 政宗は周りを興味津々に見渡しつつ、の右横を歩く。 うん、ハッキリ言おう。 視線が痛いわ。本当に。おなごの視線が。 政宗を見て、「キャーッ! か、格好良くないっ?!」とか、「素敵! 眼帯つけてるー。目、どうかしたのかな?」とか、 幸村を見て、「あの人、風船片手に持ってるー。ギャップに反して、可愛くない?」とか、「うわー、髪の毛後ろのだけ長い。尻尾みたいっ、可愛いっ」とか言っているのが聞こえる。 ……うわー、モテモテ。まあ格好良いもんね! 二人とも! そんなことを思って、はは、と乾いた笑いを顔に浮かべていると、「どうかしたのか?」と政宗が問うて来た。 「ん、気にしないで。只、うん、まあ視線が」 「ん、視線……か。まあ、……なんていうか……凄いな」 「本当にね……。やっぱ、政宗さんと幸村さんは格好良いし、普通だったら目が行くもんねー……」 「……Ah」 がそう言うと、政宗は少し苦笑しつつ、言葉をつむいだ。 いや、つむごうとした。けど。 「俺は、」 「殿、殿っ、あれは何にござるかっ!?」 「へ、なっ?! あれって……ちょっ」 幸村が、言葉を発したせいで、政宗の言葉は聞こえなかった。途中まで聞こえたような気がしたけれど、幸村の言葉でその後が消されてしまったのだ。 其れを不快に思ったのか、政宗は「……HA!」と言って、少し怒った様な視線を幸村に向けていた。 うん、まあ人に自分が喋ってる最中を邪魔されたら、むかつくもんなー、と、少し政宗に対して同情を含みつつ、 幸村の指差した方向を見た。 「アレは、ゲーム。テレビに映してやる、遊戯、みたいなものかな。面白いよー」 「そうなのでござるか……っ、そ、そういえば殿の家には、あのようなものがたくさん……っ!」 「うん。そうだね、あるよ。又、家帰ったらやろっか」 「! い、良いのでござるかっ! 楽しみでござるよっ!」 「勿論、政宗も一緒にやろーゲーム」と言うと、政宗は、「……ゲーム?」と言ってきた。 どうやら、今さっきの説明を聞いていなかった様子。多分彼の集中は幸村にあったんだろう。 政宗に、今さっき幸村に話したように説明をすると、「へェ、面白そうじゃねェか」と、なにやら嬉しそうに言葉を弾ませていった。 というか。それにしても。服だ、服。 当初の目的を忘れるところだった。しっかりしろ、自分。 そんなことを思いつつ、「じゃあ、行こう」と言って、歩き出した。 服売り場に着いた。 こんなにも沢山の服が並んでいるのは、初めて見たのか。 もしくは、自分の世界には無かった服があることに驚いたのか。 二人とも、感嘆の声を上げていた。 「じゃあ、お二人とも好きな服を選んできてね」 「好きな服を……? 分かったで御座るッ!」 「好きな服を、か。どんな服でも良いのか?」 「ん、良いよ。どんな服でも。流石にコレは! って奴は止めるけど」 「Ah…、わかった」 幸村は、なにやら嬉しそうに自分の好きな服を探しに行った。政宗も、幸村同様、服を探しに行った。 は、その服売り場の近くのベンチに腰掛けて、少し息をついた。…疲れた、かも。 ふう、と息をまたついていると、幸村の声が聞こえた。焦っているような、そんな声。どうしたのだろうか。 そう思っていると、幸村が数人の女の人を連れて、服売り場から出てきた。へ、何。何があった。 幸村が、を見て、「殿ぉぉぉぉぉっっ!」と、飛びつきそうな勢いで走ってきた。 いや、抱きついてきた。に。顔を真っ赤にして、「こ、怖っ……! なんで御座るか、あのおなごは! はれんちでござるよっ!」と、言いつつ。 ちょっと待て。どうしよう。今、頭が混乱してる。 何、何では今、幸村に抱きつかれて……ッ! お、美味しい! いや、違う!! 焦って、アタフタしていると、幸村の身体が急に離れた。 視界が急激に明るくなる。幸村の傍に居た女の人の姿が、今はもう、無い。おそらく、女が居る、って思ってどっか行ったのではないだろうか。 「…お前ら、何やってんだ? What?」 「あ、ま、政宗さん……ッ! 助かった! 助かったよ! 命の恩人ですよ! 貴方!」 「命の、恩人ってお前……。 それよりも、コイツ── 幸村は、どうしたんだよ?」 「あ、ああ、えっと、女の人に、ナンパかなんかされたんじゃないかな」 がそう言うと、「……難破?」と明らかに違う方向に考えているだろう政宗が首をかしげてきた。 「えっと、ナンパって言うのは……なんていうのかな、遊ぼう! って誘うこと、かな」 「へえ……」 意味を、しどろもどろに説明する。政宗は納得してくれたらしく、相槌を打ってきた。 政宗に首ねっこを捕まれて、から引き離された幸村が「それがっ、某っ、あのような、おなご! 見たことが無かったで御座るよ……っ!」と、顔色を青くして、そう呟いた。 「遊ぼう、って言ってきて、“すまぬ、遊べぬ”と答えたら、“良いじゃん、ちょっとぐらい!”と某の腕を引っ張って……ッ……! 恐いでござる、恐怖でござる、有り得ないでござるー!」 「Ah、お前がどんな恐怖を感じたかは知らねェが……抱きつくのは止めたほうが良いと思うぜ?」 「へ、抱きつ……ああ、殿っ、そ、そのッ、す、済みませぬううう! ……そ、某!服を選びに行ってくるで御座るよ!」 幸村は、に抱きついたことを思い出して、青くなった顔色を急激に赤色に変えて。 恥ずかしそうに、服売り場に行った。一方、政宗と言えば、服を片手に二、三着持っている。 「何やってんだ、アイツ。 ……っと、俺は、コレが欲しいんだけどな……良いか?」 「ん、コレだけで良いの?」 「ああ。お前にあんまり迷惑かけるわけにも、いかねェだろ」 「んー」 政宗から、服を受け取る。黒色のジャケットに、白い長袖Tシャツ……デザインプリントが印刷されている物。そして、ストレートパンツだ。うおおシンプル。 試着はしたのだろうか。してるわけ無いよな。そう思って、訊いてみる。 「試着は、した?」 「試着? 試着、って……?」 政宗は首を傾げる。あ、知らないんだね。そうか。そうだよなー。 戦国時代に試着なんて言葉、無いのだろう。多分。 「えーっと、あの、服を着て自分に合っているかどうかを調べる、みたいな……」としどろもどろに説明をする。政宗はどうやら分かってくれたようで、苦笑を浮かべながら、 「……いや、してねェな」 「んじゃ、しようよ。そこらへんの店員さんに頼んで、試着室借りよう」 「ああ」 たまたま近くを通った店員さんを呼び止め、試着室を借りる。 試着室に入る際、「わかんなかったら、呼んでね。直ぐ傍で待ってるから」と言って、試着室の横に待機した。 色々、訊かれるだろうと思ったけれど。政宗は無事に試着を終えて。一応、は試着した姿を見ることになった。 「……くぁッ……」 「くあ?」 どうしよう。格好良い。ありえないほど格好良い。モデルか。モデルなのか。 っていうか腰が細い。このやろう! 微妙にうらやましい。 政宗が「Are you OK?」と訊いてきたので、其れに「大丈夫、ってか……、格好良いよ……!」と返すと、 政宗は少し苦笑しつつ「……ああ、Thank you!」と、言葉を返してきた。 というか。本当に。ホントのホントに! 格好良すぎ! くっそう、コレは人気あるのがわかるって言うかなんていうか。もう……君に完敗、むしろ乾杯だよ、政宗! そんなことを思いつつ、「じゃあ、試着した服脱いで、今さっきの服に着替えといてー」と言って、は試着室の扉を閉めた。 そして、今さっきと同じ様に、試着室の傍で待った。 待っている最中、幸村がやってきて、服を二、三着に差し出した。 「殿、某、このようなモノが欲しいのでござるが…」 「ん、わかりましたー。まずは試着試着っ!」 「試着、でござるか?」 「そうそう。店員さんに頼もう」 そう言って、又もや傍にたまたま居た店員さんに言い、政宗が居る場所の隣の試着室を貸して貰った。 幸村に、試着室の説明をして、試着室に入って貰って。政宗と同じように、「わからない事があったら言ってね」と言ってから、試着室の扉を閉めた。 何分か、経っただろうか。政宗が試着室から出てきた。 「……試着、って言うのも疲れるな…色々」 「そだね……。少し疲れるかもね。……大丈夫、少し休む?」 「Ah…,其処までは、疲れてねェ。大丈夫だ、気にすんな」 「……うん、でもまあ、すごく疲れたら言ってね。」 「ああ。……それにしても、あの野郎は何処だ?」 「あのやろう、って幸村のことだよね、幸村なら此処で試着してるよ」 「……ふうん……」 が指差す方向を見る。けれど、直ぐに興味がなくなったのか、視線を逸らした。 途端。「殿! 試着、出来たでござるよおおぉ!」と、大きな声を上げて、幸村が試着室の扉を勢い良く開けた。 赤のチェックのパーカーの下に、プリントされた長そでTシャツ。そして、ジーンズパンツをはいている。 うおお、この人も似合う! 赤がやっぱり似合うね、幸村は! そんなことを思いつつ、「似合ってるよ、幸村さん!」と言うと、「嬉しいでござるーっ」と、幸村が嬉しそうに言った。その後、「じゃあ、試着した服脱いで、今さっきまできてた服を着て、出てきてね」と言うと、「わかったでござる!」と、勢い良く返事をして、試着室に入り、着替え始めた。 待つこと数分。幸村が出てきた。は、幸村から服を受け取り、会計に行く。 お金を渡すとき、足りるかな……足りるよね、とドキドキしたのは内緒だ。 会計を済ませると、服が入っている袋を渡される。取ろう、としたその時。横から伊達がが受け取る前に、受け取ってくれた。 「……へ?」 「重いって言えば、重いからな。俺が持つ。良いだろ?」 「あ。有難う……、政宗」 がそういうと、政宗は「どういたしまして」とだけ言った。うわー、紳士ー。ジェントルマンですよ。貴方。 それにしても。 服、買ったわけだし。もう、帰ろうかな。 そう思って、歩き出す。デパートを出て、家についた頃の時間は、昼過ぎだった。 →NEXT 後書き。 長い…!!書くのにこれほどまでに時間が掛かったのは初めてやも知れませぬぞ、お館様。(訳わからん) なんていうか。本当は、幸村が迷子になるシーンとか入れたかったんですが、 さすがに其れはどうか!と、思ってやめときました。うん。 というか、幸村がナンパされてなんで政宗がナンパされないんだYO!とか思った人が居るやも知れませんね まあ、アレですか。政宗さんはクールですので、女の人が話しかけても簡単に言葉返して、上手く逃げていたのでは!ないでしょうか。きっと。多分……。うああ。 2006.3.5 |